2010年9月4日土曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート224

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート224」だ。

昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「俺は案内人のおじさんの顔をそのときまざまざと見たんだ。 それで、ハッとした。 そのおじさんの顔は、あの時の親父グモの顔に瓜二つ、そっくりなんだ。 それに何故、このおじさんは親父グモのことを知っているんだ。 おじさんは絆創膏を『ここを見ろ』と言わんばかりに剥(は)がしたんだ。 その傷は、三日月の格好をしている切り傷であった。」

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子路曰く、『おじさん、その傷は俺が投げた懐中電灯で切ったと言いましたが、俺はおじさん目がけて投げたおぼえなんかないよ。 顔はおじさんにそっくりで、体全身クモのような毛で覆われた見たこともない化け物に投げたんだ!』

案内人曰く、『教室内の見回り中に、いきなり懐中電灯が飛んできたんですよ。 まだズキズキして頭が痛いです。』

子路曰く、『おじさんはどうして親父グモのことを知っているんだよ。』

案内人曰く、『おじさんはこの小学校の卒業生でね。 大人になってからここの用務員になったんだ。 今はこの廃校の管理を任されているんだよ。 おじさんがこの小学校の用務員になりたてのころ夜間に教室を見回っているときに、廊下の床に毛むくじゃらの大きなクモがいたんだ。 暗かったので誤って踏みつぶすところだったが、このクモは動かないんだ。 おじさんは、子供のころから虫でも何でも謂(い)われなく殺すのが嫌だから、手にとって逃がしてやろうとしたんだ。 その時にクモが毒グモだったのか、指を刺されたんだ。 夜のクモは縁起が悪いというが、それから三日三晩高熱が出て浮かされながら不思議な夢を見たんだ。』

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年9月3日金曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート223

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート223」だ。

昨日の引き続きであります。

子貢(しこう)曰く、「世にも不思議な物語ですねぇ~。」

子路(しろ)曰く、「物語じゃねえやい! 俺にとってはノンフィクションだ。 人は本当らしい嘘は信じるが、嘘らしい本当は信じねえものだ。 オレオレ詐欺にはひっかかるが、当の正真の本人のほうが親の所へ電話をかけたら、『あなたが何方(どなた)か知りませんが、息子の声色を真似るの上手ねぇ!!  オレオレ詐欺なんか仕事にしないで、その才能を活かして俳優になるか、他の真っ当な仕事に付きなさい!』なんて逆に説教たれられるようなもんだ。」

顔回(がんかい)曰く、「わかるようでわかりにくい、屁理屈のような話ですね。 まぁ、それだけ人身の心が、疑心暗鬼(ぎしんあんき)になっていると言うことですかね。 ではその先をお願いします。」

子路曰く、「林間学校に来ている間、校庭のすみっこで飯ごうでご飯を炊いて、大なべでお決まりのカレーを作ったりして食べた。 最後の晩は、皆で歌ったり踊ったり、これもお決まりのキャンプファイアで盛り上がったなぁ。 そして帰る日になって、校舎の前の二宮尊徳翁の前で、記念撮影をすることになり、俺は小6の割に大人顔負けの体であったので、向かって左の(二宮)金次郎側の後ろの位置になった。 その時、道案内してくれたおじさんも来ていて、記念撮影に加わってくれることになったんだが、そのおじさんの顔をその時よくよく見ると、額(ひたい)の真中に大判の絆創膏を貼っていたんだ。 『どこかで見た見覚えのある顔だなぁ』と思ったが、なかなか思い出せない。 すると案内人のおじさんはニッコリ笑って俺の耳元でおかしなことを言うんだ。 『子路君、君、親父グモに会ったでしょう! 君に投げつけられた懐中電灯で額が切れて、三日月の傷が残っちゃったんだよね! “天下御免の向こう傷” だ。』と言いながら絆創膏をはがしたんだ。」

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年9月2日木曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート222

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート222」だ。

昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「村長さんと助役さんの働きで校舎は村営の歴史記念館として残ることになって、『めでたし、めでたし』と一件落着になった。 しかし、俺は人質になった玄徳(げんとく)や友達や引率の先生に聞いたんだが、誰もが『人質になった覚えがない』と口を揃えて言うんだ。 トイレに行った俺と甥陽明(おいようめい)がいつまでたっても帰ってこないんで、引率の先生と案内人のおじさんと一緒に校舎の周りを探しに行ったが見つからず、『単独行動をするいつもの腕白大将の子路のことだから、陽明とここら辺の山を冒険に行っているんだろう。 腹がへったら必ず帰ってくるだろうから』とそれ以上探しはしなかったんだ。 友達も気にも留めずに歌を歌ったり、ゲームしたりと楽しく過ごしていたそうだ。 親父グモの糸にぐるぐる巻きにされた玄徳ちゃんだが、本人は『親父グモなんかいっぺんも見てはいない。』と言うんだ。 ではあの俺が見た蜘蛛の糸に巻かれた玄徳の姿は何だったんだろうか? 唯一、さゆりや親父グモの話ができたのは陽明だけだった。 陽明は気絶したままだったが、意識が戻ってみるとガランとした教室にいた。 『目が覚めた後、不思議な夢を見たとほっぺたをつねってみると痛かったが、何かリアルな夢で、きつねにつままれた不思議な感覚だ。』と言っていた。 『ただ子路ちゃんがいないので心配していたんだ。』と言うんだ。」

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年9月1日水曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート221

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート221」だ。

昨日の引き続きであります。

子貢(しこう)曰く、「先輩、お話の腰を折るようですいませんが、さゆりちゃんは精霊でこの世のものじゃないですよね。 火をつけて校舎と共に死ぬことができるのですか?」

子路(しろ)曰く、「さゆりも切羽詰まっていたから、気持ちが空回りして思わず言ってしまったんだろうよ!」

顔回(がんかい)曰く、「 “さゆり” と気安く呼び捨てに出来る関係って、なんかいいですね! その先の話をお願いします。」

子路曰く、「村長はしばらく沈黙していたが・・・」

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村長曰く、『人命には代えられません! 私が全ての責任を持ちます。 この校舎を残すことに同意します。 引き換えに職員を開放して下さい!』

さゆり曰く、『村長さんは私達の要求に同意していただけました。 助役さんはどうしますか?』

助役曰く、『私も人命には代えられません! 同意します。』

さゆり曰く、『では、お二人ともこの誓約書にサインして下さい! 言っときますがこの誓約を守らないと・・・』

村長曰く、『この誓約を守らないと、どうなるんですか?』

子路曰く、『さゆり、どうするんだ。』

さゆり曰く、『この誓約は聖なる誓いです。 この誓いを守らない時は、毎日化けてお仕置きするからね!』

村長曰く、『さゆりちゃんなら可愛いから化けて出てもかまいませんが、それとこれは別のことです。 私とさゆりさんのお互いの信義の問題です。 (誓約書にサインをして・・・)これでどうですか?』

さゆり曰く、『では、職員さんを解放することを誓約します。 私のサイン入りの誓約書を渡します。 ただし、子路ちゃんが林間学校にいる間は子路ちゃん達をお預かりするかたちになります。 決して人質ではなく、お客様として接待しますからご安心下さい!』

村長曰く、『わかりました。 その間に村民も含めて事情説明します!』

さゆり曰く、『では、これで手打ちで決まりですね!』

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年8月31日火曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート220

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート220」だ。

昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「俺はさゆりに言った・・・」


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子路曰く、『俺の友達は皆大丈夫か?』

さゆり曰く、『大丈夫よ。 安心してちょうだい!』

村長曰く、『さゆりさん、あなたの申し出はわかるが、子路君の仲間をすぐに開放して欲しい! それからでないと私としては話し合いには応じられない。』

さゆり曰く、『村長さん、もうとっくに開放してますよ! 食事も終えてみんなで楽しく遊んでいます。 ここの様子を調べに来た役所の方に代わりに人質になっていただきました。』

村長曰く、『さゆりさん、職員は無事ですか?』

さゆり曰く、『無事です! それより村長さん、この校舎をこのまま村の管理でいつでも活用できるように残すことを約束して下さい! それが私達の要求です。』

村長曰く、『さゆりさん、私の一存では決められないのです。』

さゆり曰く、『あなたの村の職員の命がかかっていてもですか?』

村長曰く、『職員に罪はありません。 すぐ解放して下さい! このことは改めてここが村営の歴史記念館として残せるよう議会にかけてみます。 さゆりさん、私の政治生命をかけて議員を説得します。』

さゆり曰く、『村長さん、私には村議会の議員の心が見えます。 信用できません。 今ここで返事をいただけないのなら、この校舎が壊される前にあなたの職員を道連れに私の手で火をつけて校舎と共に果てる覚悟です。 村長は、今すぐ、はっきりした返答をして下さい!』

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを


天意天風

2010年8月30日月曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート219

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート219」だ。

昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「村長が音楽教室の戸を開けようとする刹那、中からオルガンの音と子供たちの歌声が聞こえてきた。」

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助役曰く、『村長、この小学校の校歌ですよ‼』

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子路(しろ)曰く、「村長はうなずきながら黙って戸を開けた。 その中を見ると大勢の小学児童が教室の中に所狭しと重なり合いながら一生懸命校歌を歌っていた。」

顔回(がんかい)曰く、「それはいったいどういうことなのですか?」

子路曰く、「教室に入りきれない子供たちだ。 それも俺の友達じゃない。 後でさゆりに聞いたら、この小学校で学んだ全ての児童の面影のホログラムだと言うんだ。 村長と助役と俺は中に入ってその歌声をしばらく聞いていた。 その中に子供の頃の村長と助役の姿もあったらしく、その姿を見る二人の頬には大粒の涙が流れていたのを覚えている。 歌っている子供の中から一人の少女がまっすぐこちらへ向かって歩いて来た。 学校童(わらし)のさゆりであった。」

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さゆり曰く、『村長さん、助役さん、ようこそいらっしゃって下さいました。 学校童のさゆりです。 子路ちゃん、ごくろうさまでした。』

村長曰く、『子供の頃にここで校歌を歌った懐かしい記憶があります。 私と助役の姿もありましたが、この光景はいったい何でしょうか?』

さゆり曰く、『これは、ここの小学校に学んだ児童全員の面影です。 村長さんと助役さんの面影もあったでしょう。 この校舎にはここで学んだ全ての児童の面影が大切に保存されているんですよ。』

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを


天意天風

2010年8月29日日曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート218

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート218」だ。

昨日の引き続きであります。

秘書課長曰く、『小学校が見えてきました。』

助役曰く、『村長! ここに来るのは久しぶりです。 懐かしいですね!』

村長曰く、『そうだね! 助役、君とはこの道を歩いて通ったね。』

助役曰く、『二人でずいぶんいたずらしましたね!』

村長曰く、『お互い悪ガキだったが、あの頃は何をしても楽しかったな!』

子路(しろ)曰く、『お話中すみませんが、 “真実の鏡” を通してさゆりから連絡が入っています。 ちょっと待って下さい!』

さゆり曰く、『もしもし、子路ちゃん。 校舎の中の音楽教室に来るように伝えて下さい!どうぞ』

子路曰く、『了解しました。 どうぞ・・・ 村長さん、さゆりが音楽教室に来るようにとのことです。』

村長曰く、『わかりました。』

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子路曰く、「四人は正門をくぐり、二宮尊徳像に一礼して校舎に入った。」

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村長曰く、『思ったより中はきれいに掃除されているんだね!』

助役曰く、『村長、廃校にはなりましたが、この近くの者に火元の管理から、校舎の保守管理、不審者がいないかなど、毎日見回ってもらってます。』

村長曰く、『そうかね。 ご苦労様ですね。』

子路曰く、『もしかして、僕たちをここまで道案内してくれた方ですか?』

助役曰く、『そうです。 彼もこの小学校の卒業生で、廃校になるまで用務員として勤めていました。 この辺りに一番詳しい者です。』

村長曰く、『いよいよ音楽教室ですね! さゆりさんと会えるのが楽しみです。』

秘書課長曰く、『村長! 私は廊下で皆さんを待っておりますが、よろしいでしょうか・・・』

村長曰く、『君、震えているね! 好きにしたまえ。 では、子路君、助役、入りますよ!』

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを


天意天風