諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート266』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
孔子の命を受けた子貢(しこう)は、神北に離れを貸していた商家の手代に賄(まいない)を渡して、神北の素性を聞いたが、はっきりしたことはわからなかった。
この商家は、衛と魯(ろ)の特産品の取引をしているため荷馬車が私兵に守られて互いの国を行き来をしていて、毎月、「1」の日と「15」の日に荷が出て、「10日」と「25日」に衛から荷が届くということだった。
その荷の中に、「差出人はわからないが、荷札に祝(しゅく)という文字が書かれた神北宛の物が入っていた。」ということまで聞き出すことができた。
たぶんその荷の中に、神北に命じた者の木の札に墨で書かれた手紙が入っていて、荷のやりとりをしながら、神北もなんらかの情報を送っていたと推論できる。
子貢は、急いで従者に旅支度をさせ、即日、衛(えい)に旅立った。
そして、子貢はことのほか喜び勇んで出掛けた。
なぜなら、衛は子貢の生まれ故郷の国で、実家に立ち寄ろうと思っていたからである。
参考までに、衛の国は、中国周代の諸侯国の一つである。
武王の弟、康叔(こうしゅく)を祖とし、朝歌現河南省内に都があった。
紀元前209年、秦(しん)に滅ぼされた。
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート265』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
子曰く、「確かに! 私の言った言葉だ。 回よ! 私を評して、生来の忠恕(ちゅうじょ)の教育者とは的を射ているかもしれないね!」
顔回(がんかい)曰く、「はなはだ失礼ながら、もう一つ言わせて頂くなら、先生は、忠恕の心の思想家でもあります。」
子曰く、「回の評だ。 ありがたく受け取るとするよ! 自己の内にある良心を偽らぬこと忠の心と他者への思いやりの心、つまり恕(じょ)の心とが人倫の根本であり、万古不易(ばんこふえき)の人間の真理でもあるからね。 私はそう確信している。」
顔回曰く、「私はそうした先生のもとで、人生真理を学べることを衷心(ちゅうしん)よりありがたく日々感謝しております。」
子曰く、「人間の心の奥底には、本当に神聖な種火が存在する。 この火の明かりは、心の中を照らす聖火の松明(たいまつ)である。 この神聖な良心の炎を消してしまうと、暗夜の中をさまよってしまうことになる。 真我の中にこの火がある。 内在する神性の火とも、霊性の火とも、仏性の火とも言うんだ。 この種火は、万物の霊長たる人間には、生まれながらにして備わっている火なんだ。 この火が良心の元をなしているんだよ! 私はそう確信している。」
顔回曰く、「はい!」
子曰く、「回よ! 自らの聖火の松明を決して手放してはならない。 その灯を消してはならない。 その灯とともに人生の道を歩(あゆ)んで行きなさい!」
顔回曰く、「御教授ありがとうございます。」
子曰く、「間もなく宰我(さいが)も来るであろう。 近いうちに子路(しろ)ともじっくり話をするつもりだ。 私も結婚式に行く仕度もある。 回よ、頼りにしているぞ。 宜しく頼む!」
顔回曰く、「はい、先生御安心下さい。 では先生、これで失礼します。」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート264』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
顔回(がんかい)曰く、「先生は、生来の忠恕(ちゅうじょ)の教育者なのですね!」
子曰く、「おいおい、回よ、私をヨイショして棚の上のボタモチに祭り上げてはいかんぞ!」
顔回曰く、「いいえ! 先生、覚えておられますか? 『子、匡(きょう)に畏(い)す。 顔淵(がんえん)、後(おく)る。 子曰く、“われ女(なんじ)をもって死せりとなす”。』 先生と子路先輩と門弟数名が匡の国で暴徒に取り囲まれて逃げる時に、私一人が皆にはぐれてしまいました。 私は必死で暴徒の群れをかいくぐって、先生一行を追いかけました。 ようやく私は先生に追いついて、先生の顔を見るなり胸がジーンと熱くなりました。 先生は私の顔を見るなり『おお、生きていたか!』 私はまたジーンと熱くなりました。」
子曰く、「覚えているぞ! 忘れはしまい。 顔回曰く、『子在(いま)す。 回なんぞ敢(あえ)て死せん』。 回は私にこう言った、『先生の生きておられます限り、どうして私が先にしねましょうか!』 あの一言は、うれしかったぞ!」
顔回曰く、「先生、厩(うまや)が火事にあった時のことを覚えていますか?」
子曰く、「よ~く覚えている。」
顔回曰く、「先生が朝廷から退出してこられて、何事も無かったかのように落ち着かれていました。 そして先生が厩番に最初に言われた言葉を忘れられません。」
子曰く、「よく覚えているぞ!」
顔回曰く、「『怪我人は無かったか?』 馬の安否ではありませんでした。 厩の管理責任者の厩番を責めることもありませんでした。」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート263』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
顔回(がんかい)曰く、「子貢(しこう)君と他に何を話されたのですか?」
子曰く、「回よ、子貢に関心があるのかね?」
顔回曰く、「はい、私とは年も一つ下で年子(としご)の実の兄弟のようなものです。 性格の違いもありますが、お互い良きライバルです。 私は彼の行動の実践において間一つ遅れるところがあります。 機転の利(き)くところと俊敏さは真似ができません。 私はじっくり考えて行動するタイプなので、彼を見ていると何かと刺激になります。」
子曰く、「ほぉ、そうかね! お互い切磋琢磨して自分を磨き、向上していくことははなはだ良き事。 門人全体の意識も高まろう。 大いに結構だ。」
顔回曰く、「して、何を話されたのですか?」
子曰く、「回には、時おり話していることだが、『どうして先生には、霊魂の固有性能を見分けることが出来るのですか?』と子貢に問われた。」
顔回曰く、「それで、何とお答えになったのですか?」
子曰く、「『霊魂には心がある。 その心を霊性心と呼んでいる。 霊性心は、我々人類の精神のみに特有された極めて優秀性を有する最高給のものだ。かの霊感とか霊智とかいうような特殊なものは、いずれもこの心が発露するものだ。』と答えたが、子貢も『正しい霊感、霊智』に興味を持ったようだ。」
顔回曰く、「それはそれは良かったです。 先生が私一人のときだけのマンツーマンで話される内容ですね。」
子曰く、「そうだね。 霊性心の話をしたのも、彼は器としては最高のものであっても、器のままでいて欲しくはないのだ。 その器を使いこなす存在になりかわって欲しいと願っているからだよ。」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート262』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
子貢(しこう)と入れ違いで顔回(がんかい)が孔子書院の控えの間に訪れた。
顔回曰く、「顔回です。 先生、お呼びでしょうか?」
子曰く、「おお、回よ! 中に入ってきておくれ。」
顔回一礼して曰く、「失礼します。」
子曰く、「さぁさ、ここにお座りなさい。 茶を入れよう!」
顔回曰く、「先生、どなたかお客様が来られていたのですか?」
子曰く、「いいや、客ではない! 先程まで子貢と話をしていたんだ。」
顔回曰く、「子貢君とですか。 このところ彼とゆっくり話をしていませんので、顔を合わせたかったですね!」
子曰く、「そうか。 実は、子貢には私の用向きを頼んだ。 しばらくの間留守をする。 すまんが、回よ! 子貢留守中に代理を務めてくれないか?」
顔回曰く、「私は司会典礼役は、子貢君のように慣れていませんので代理が務まりますか・・・ わかりません。」
子曰く、「いや、司会典礼役は、宰我(さいが)に代わってもらう。 回を呼んだのも他でもない、この機会に孔子塾の塾頭補佐をしてもらえんか! 門弟にも通達しておこう。」
顔回曰く、「塾頭補佐ですか! 申し訳ありませんが、回は子路(しろ)先輩を差し置いては出来かねます。」
子曰く、「子路に断っておきたかったが、毎日顔を出していたものが、このところ、一切t私の所に顔を出さないんだ。 性急ですまんが、これは是非に回に頼みたい!」
顔回曰く、「はい、子路先輩が快く了承して頂ければ、仰せの通りに・・・」
子曰く、「では、臨時ということで受けてくれ!」
顔回曰く、「はい、わかりました。」
子曰く、「さあ、朝積みフレッシュハーブティーだ。 一服しなさい!」
顔回曰く、「はい、いただきます。 ・・・子貢君の用向きとは何ですか? かなり急ぎの用なのですね!」
子曰く、「急ぐと言えば、そう言えるかな! まぁ~それはそれだ。 私も4~5日親戚の結婚式で留守をする。 留守中よろしく頼むぞ!」
顔回曰く、「はい、かしこまりました。」
子曰く、「先ほど子貢が、回の才能に嫉妬していると言っておったぞ。」
顔回曰く、「子貢君は、私の持っていない政治家としてなしていく弁舌の才があるじゃないですか! 私への嫉妬は私の預かり知らぬところです。」
子曰く、「回よ! それだけ注目の的で、一目置かれているんだよ。」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート261』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
子曰く、「子貢(しこう)よ、この話は私と君だけの秘密だ。 孔家門弟及び君の家族にも他言無用だ。 いいね!」
子貢曰く、「はい、誰にも話しません。」
子曰く、「これは路銀だ。 渡しておく。」
子貢曰く、「はい、お預かりします。」
子曰く、「頼むぞ。 これで用件は済んだ。 有意注意を怠らず、気をつけて行きなさい!」
子貢曰く、「はい、先生、回さんに『子貢が“留守中をお願いします!”とくれぐれもよろしく言っておった』と伝えて下さい。では失礼いたします。」
子曰く、「子貢よ、回に伝えておこう!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
諸君、子貢は、孔子の弟子にして孔門十哲の一人であることはすでにご承知のことと思う。
改めてここで、彼のプロフィールを紹介しよう。
本名は端木賜(たんぼくし)。
姓が端木、名は賜(し)、字が子貢。
衛の人。
弁舌に優れ、衛、魯でその外交手腕を発揮する。
また司馬遷(しばせん)の「史記」によれば子貢は魯や斉の宰相を歴任したともされる。
さらに「貨殖列伝」にその名を連ねるほど商才に恵まれ、孔子門下で最も富んだ。
孔子死後の弟子たちの実質的な取りまとめ役を担った。
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート260』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
子貢(しこう)曰く、「はい、先生! 至らぬ私ですが精一杯努力いたします。」
子曰く、「さて、ずいぶん気分も落ち着いてきたようだな。 もう一杯、茶を入れよう。」
子貢曰く、「先生、私はもう結構です。 私への用向きがありましたのに、先生の話の腰を折ってしまいました。 申し訳ありません。 先程の話の神北(かんぺき)君のことですが・・・ 神北君を調べてどうするのですか?」
子曰く、「これは私の霊感だが、『神北』は偽名だ。 彼は誰かの命令を受けて私や孔子塾の門人を調べに来ている間者だ。 子路(しろ)の紹介で上手くもぐり込んだものだ。」
子貢曰く、「スパイということですか?」
子曰く、「そうだ!」
子貢曰く、「目的は何でしょうか?」
子曰く、「それは私にもわからない。」
子貢曰く、「先生、私が神北君を問い詰めてみますよ!」
子曰く、「それはならぬ! どんな素性であれ、塾生として受け入れたのだ。 かくたる証拠がなければ、問い詰めることはできない。 それゆえ調べて来てもらいたい。」
子貢曰く、「神北は何者か? 誰に命令されて? 何の目的でここにもぐり込んだのか? ・・・ わかりました。 早急に仕度をして、やつの動かぬ証拠をつかんできます!」
子曰く、「頼む。 君の留守中は回(かい)に代わりを務めてもらうことにする。 何にも案ずることはない! すでに回にはここに来るように呼んである。 子貢は旅の支度をして、すぐに出かけられるようにしなさい!」
子貢曰く、「はい、仰(おお)せの通りにいたします。」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風