諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート294」だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
司会進行役宰我(さいが)曰く、「顔回(がんかい)先生、塾頭補佐、並びに孔子塾跡目襲名、誠におめでとうございます!」
顔回、会場の拍手に応え、深々と一礼する。
残念なことに、この襲名式より、3ヵ月後に顔回は、風邪をこじらせ、肺炎がもとで四十一歳の若さでこの世を去ることになる。
孔子の死の三年前である。
宰我曰く、「それでは、孔子先生、本日のテーマ『善く生きる』です。」
子曰く、「え~、本日この壇上にいます子路(しろ)と顔回とでこんな話のやりとりをしたんです。『お前達それぞれに、いますぐなれるとしたら、どんな人物になりたいかね。 私になりたい自分像を聞かせてくれないかい?』と聞きました。 この会場の弟子諸君も子路や顔回のように自分に問うてみて欲しい。 すると先輩の子路は『車馬やブランドの服や毛皮のコートを惜しみなく友人と貸し借りし、ボロボロにされたって少しも気に掛けない、そんな太っ腹な人間になりたいものです。』と胸を張って答えたよ。 顔回は、『善行を自慢せず、苦労を他人に押し付けない。 そういう謙虚な人に成りたいです。』と例によって、手短な模範解答をしたよ。 すると子路が『では、先生は?』と訊くから、『そうだな、私はお年寄りには安心され、友人からは信頼され、年少者からは慕(した)われるような者に成りたいのもだなぁ。』と答えました。 諸君等は、何と答えますかな?」
顔淵(がんえん)・季路(きろ)侍(じ)す。 子曰く、盍(なん)ぞ各々(おのおの)爾(なんじ)の志(こころざし)を言わざる。 子路曰く、願わくは車馬(しゃば)衣裘(いきゅう)、朋友(ほうゆう)と共にし、これを敝(やぶ)るも憾(うら)み無からん。顔淵曰く、願わくは善に伐(ほこ)ること無く、労を施すこと無からん。 子路曰く、願わくは子の志を聞かん。子曰く、老者(ろうしゃ)はこれを安んじ、朋友はこれを信じ、少者はこれを懐(なつ)けん。
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート293」だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
司会進行役宰我(さいが)曰く、「皆様、御静粛にお願いします。 司会の私も突然のことで、何も聞かされておりません。 多少動揺しております。 1~2分ほどお時間を下さい。 その間、皆様ここで肩の力を抜いて深呼吸をして頂いて、リラックスしてお待ち下さい!」
宰我、孔子先生の所へ駆け寄る!
宰我曰く、「先生、驚きました・・・ 回(かい)さん、襲名おめでとうございます!」
顔回(がんかい)曰く、「私も会場へ来てわかったことです。 自分が一番驚いています。」
子曰く、「これでいい! これでいい! このサプライズがたまらないんだ。」
宰我曰く、「先生、回さんに襲名の御挨拶をして頂かなくてもよろしいですか?」
子曰く、「それはそうだ! 回よ、晴れの舞台だ、塾生諸君に挨拶してきなさい。」
顔回曰く、「私、こういう場が一番苦手なんです。 他の人に代わってもらえないでしょうか?」
子曰く、「回よ! この期に及んで何を言うか! 腹をくくれ! さあ、挨拶に行って来なさい。」
司会進行役宰我曰く、「それでは、皆様、お待たせいたしました。 孔子塾後継者、塾頭補佐顔回先生の御挨拶です。 会場の皆様、拍手でお迎え下さい! では、顔回先生、どうぞ。」
顔回は震える足を気持ちで押さえながら演壇に向かう!
顔回曰く、「え~、本日は晴天なり! 本日は晴天なり! テスト、テスト! ただいまマイクのテスト中! え~、塾生の皆様、高いところより失礼します。 只今孔子先生より御指名を頂きました顔回です。 私も突然のことでありましたので、大変驚いております。 身に余る光栄ですが、それにもまして責任の重さを、今は痛感しております。 子路(しろ)先輩を差し置いての後継でありますが、子路大先輩の御推挙もありました。 子路先輩、お心遣い、誠にありがとうございます。」
子路、心中で呟いて曰く、「・・・俺は何も推挙なんかしてないぜ! 先生から今朝聞いたばかりだ! 回の奴、意外と調子いいんだからな! ま~、いいか。」
続けて顔回曰く、「塾生の皆様、ふつつか者ですが、いく久しくお引き立てのほど宜しくお願い致します。」
会場から万雷の拍手が起こる。
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート292」だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
子曰く、「多少腫れているが、それがどうしたんだ?」
顔回(がんかい)曰く、「芸能人は目が命! 私の取り柄は、この『澄んだクリクリおめめ』なんです!」
子曰く、「回(かい)よ! 大した腫れじゃない。 相変わらず、いい男だぞ!」
顔回曰く、「先生がそうおっしゃって頂けるのなら自信が持てます!」
子曰く、「子路(しろ)もお前が孔子塾の跡目を継ぐことを快く承諾してくれた。 お前の後ろ盾になってくれる! 子路、そうだね!」
子路曰く、「おうよ! 可愛い弟弟子だからな! 俺がついてる! 何も心配するな。 お前の跡目を邪魔するやつは、俺が俺が許さん! 首根っこひっ捕まえてへし折ってくれるわ!」
子曰く、「おいおい、乱暴なことをするんじゃないぞ! では子路よ、回よ頼むぞ。」
子路、顔回揃って曰く、「はい!」
先生は、席を立ち、演壇に向かう。
子、演壇のマイクを取って曰く、「諸君、元気ですか! 孔子であります。 本日は、孔子塾総合講義でありますが、その前に私より重大な発表があります。 私も来年には数え七十の古希(こき)を迎えます。 孔家一門の発展のためにも、儒学精神普及のためにも、そろそろ私の跡継ぎを指名する時機がが訪れました。 諸君には、突然のことですが、私なりに、考えに考えて、心を無にしての結論に至りました。 この場を借りて、後継者を発表します。」
会場から、割れんばかりの大歓声とどよめきがおこる。
司会典礼役宰我(さいが)曰く、「会場の皆様、御静粛にお願いします!」
子、続けて曰く、「それでは発表します。 私の跡目を継ぐ者は・・・」
会場は一瞬静まり返る。
「孔子塾徳行科担当講師、顔回! であります。」
顔回起立して、会場に向かって深々と一礼をする。
会場から、塾生皆起立し、万雷の拍手が起こる。
子、続けて曰く、「今のところは、塾頭補佐として、私の代わりを務めてもらいます。 諸君、まだまだ若い未熟者ですが、塾生諸君の厚いご厚情を頂き、孔子塾発展のために御力を貸して頂きたい! 私からも切に希望するものであります。 以上。」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート291」だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
ここは、神農廟大ホールであります。
午後12時半から開場され、始まる1時半頃には満席で、立ち見が出るほどの盛況ぶりであった。
四科十哲の面々もステージに上がり、着席した。
宰我(さいが)曰く、「本日の司会進行役の孔子塾司会典礼役兼弁舌担当講師の宰我です。 どうぞよろしくお願いします。」
会場から盛大な拍手がおこる。
宰我曰く、「では、皆様、御静粛にお願いします。 孔子塾塾生総合講義、演題は『善く知る』です。 孔子先生、お願い致します。
子曰く、「宰我君、講義の前に、10分程度、時間を頂けないかね? 塾生の諸君に重大な発表があります。」
宰我曰く、「はい、わかりました。 会場の皆さん、孔子先生から重大な発表があります。 そのままお待ち下さい!」
会場の後ろに来ている神北(かんぺき)曰く、「今日はどうしたことだ! あの子路(しろ)先輩がフォーマルスーツで壇上にいる。 回(かい)さんも子貢(しこう)君もだ。 昨日、飲んでいる時には、誰も一言も言っていなかったじゃないか。」
ステージ上の席にかけている顔回(がんかい)小声で曰く、「先生! 先生! これはどういうことですか? 私、何も知らされていないのですが・・・」
ステージ上の子曰く、「回よ、何も案ずるな! これは私からの回へのサプライズだ! 今日の総合講義は、回の塾頭補佐の襲名式を兼ねている。」
ステージ上の顔回曰く、「襲名式ですか?」
ステージ上の子曰く、「そうだ! わかりやすく言えば、私の跡目相続式だ。」
ステージ上の顔回曰く、「え~、そうなら、深夜まで飲むんじゃなかった! 先生、私のまぶた、腫れてないですか?」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート290』だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
子曰く、「そうだ! 『ガンガン』と『ニコニコ』だ」
子路(しろ)く、「何ですかこれは? ・・・士がどうして、『ガンガン』と『ニコニコ』なんですか?」
子曰く、「『ガンガン』、『ニコニコ』なら、士と言えるだろう。 友とはガンガンと励まし合い、兄弟とはニコニコ接することだよ。 わかるかな?」
子路く、「わかりかねます!」
子曰く、「それだ。 その態度を改めなさい! 仏頂面(ぶっちょうづら)で言ったのでは、ただでさえ人相が悪いのに、周りの者は恐がってしまうぞ! いいかね子路、普段はいつもニコニコ笑顔でいなさい! お前の一挙手一投足が塾生に良くも悪くも影響を与えているのだぞ。 後輩には、ガンガンと励ましてあげなさい。 ガンガンとは、勢いの盛んな様を言うんだ。 それが子路の士としての態度だよ。」
子路く、「はい。」
子曰く、「子路のそのような態度なら、後輩は信頼してついて来るからな!」
子路く、「ご享受ありがとうございます。」
子路問いて曰く、「如何(いか)なるをか斯(こ)れこれを士と謂うべき」。 子曰く、「切切偲偲怡怡如(せつせつししいいじょ)、士と謂うべし。 朋友子路には切切偲偲、兄弟(けいてい)には怡怡如」。
「トントン トントントン」 スタッフ叩くドアの音。
「ギィー」 ドアの開く音。
スタッフX、半ドア越しで曰く、「先生、そろそろお時間です。 ステージの方へお越し下さい。」
子曰く、「はい、すぐまいりましょう!」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート289」だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
神農廟大ホール会場、午後1時であります。
子路(しろ)が司会典礼用のフォーマルスーツを着て大きな花束を2つ抱え、スタッフ通用口から入って曰く、「おい君、そこのスタッフさん、孔子先生の控室はどこかね?」
スタッフ曰く、「孔子先生の関係者の方ですか?」
子路曰く、「そうだ! 孔子先生の一番弟子の子路様だ。」
スタッフ曰く、「ああ、あなたが、かの有名な子路さんですか。」
子路曰く、「おい、お兄さん。 俺ってそんなに有名なのか?」
スタッフ曰く、「はい、巷では、無鉄砲で乱暴者! 怒らせたら何をするかわからない御仁ということで・・・」
子路曰く、「なに~い!」
子路、ここでぐっとこらえて心の中で呟いて曰く、「今日は、回(かい)の記念すべき日だ! 今日一日、決して怒るまいぞ!」
子路曰く、「君は実に正直ものだ!」
スタッフ曰く、「はい、友人からもそう言われています。 子路さんは、噂で聞くのと、会って話してみるのとでは違いますね!実物は渋くてカッコイイです。 孔子先生の控室はステージの真裏の一番奥になります。」
子路曰く、「ああ、そうかね、このステージの裏だね! ありがとう。」
子路、独り言を呟いて曰く、「俺って渋くてカッコいいんだ! 今日、バッチリきめているからなぁ!」
トン トン トン トン
子路曰く、「先生、子路です。」
子曰く、「子路か、入って来なさい!」
子路曰く、「失礼します。」
子曰く、「おいおい、何だその大きな花束は?」
子路曰く、「これですか? これは、先生と顔回に襲名のお祝いの花ですよ! ステージで渡そうと思いましてね。 花屋にとびきりのものをセレクトさせました。」
子曰く、「それはそれはよく気が利くね! 回も喜ぶだろう。 スタッフに渡しておきなさい。 花束贈呈の場を設けよう!」
子路曰く、「先生、とりこんでいるところすみませんが、御伺いしたいことがあります。」
子曰く、「着替えながらで構わないなら言いたまえ!」
子路曰く、「俺は、巷で『無鉄砲で乱暴者! 怒らせたら何をするかわからない御仁』ということで有名だそうです。 自分は常に士たらんとして振舞っているのですが、私を見て先生は正直どう思われますか?」
子曰く、「巷の噂を気にしているかい?」
子路曰く、「まあ・・・ いえ、気にしていません!」
子曰く、「子路よ、以前にも触れたことがあるね! 改めて、士とは、どういう者のことかわかるかね? これがわかると、どんな態度が士としてふさわしいかわかるというものだ。」
子路曰く、「先生、それを伺っているんですが・・・」
子曰く、「よ~く聞けよ! それは『ガンガン』と『ニコニコ』だよ!」
子路く、「『ガンガン』と『ニコニコ』ですか?」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート288」だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
ここは、神農廟大ホールであります。
中央のステージに演台が置かれ、客席側から見て、右側にテーブルとイスが3席置かれていた。
そのテーブルの前面に、「世界一の儒家、孔子塾 塾頭 孔子先生」「孔子塾 塾頭補佐顔回(がんかい)先生」次に「孔子寮 寮長 子路(しろ)」と肩書と名前が書かれていた。
左側は、イスが7席置かれ、肩書と名前が書かれていた。
それぞれの肩書と名前は、「司会典礼役兼任弁舌科担当講師 子貢」、「宰我」、「徳行科担当講師 閔子騫(びんしけん)」、「冉伯牛(ぜんはくぎゅう)」、「仲弓(ちゅうきゅう)」、「政治科担当講師冉有(ぜんゆう)」、「文学科担当講師 子游(しゆう)」、「子夏(しか)」である。
ちなみに子路は政治科担当講師、顔回は徳行科担当講師であった。
顔回は昨日までステージに無かったテーブルとイスとその書かれてあるものに、大きなまん丸の目をさらに丸くして驚いた。
顔回独り言を言って曰く、「何じゃこりゃ! 一体誰がこんな真似をしたんだ。 ここの責任者は誰だ! すぐ片づけさせよう。」
顔回は、準備しているスタッフAに向かって言った。
顔回曰く、「おい、君! ここの責任者を呼んでくれたまえ!」
スタッフA曰く、「はい、すぐ呼んできます。」
会場設営の責任者らしいBが来て答えて曰く、「何をおっしゃるんですか。 ここの総責任者は顔回補佐じゃないですか。 寝ぼけたこと言ってはこまりますよ!」
顔回曰く、「私は、このようなものを『用意せよ!』と指示をした覚えはありません。 何かのミステークです。」
スタッフB曰く、「おかしいな。 昨日、孔子先生の下男の方がこられて、『総責任者塾頭補佐の顔回先生の御命令で、これこれこのように準備せよとのことです。 間違いのないようにお願いします。』と貼り紙と指示書を持ってこられました。 それには、顔回さんのサインと孔子先生の許可印がありましたよ!」
顔回曰く、「え~ぇ、私はサインなどしていませんよ!」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風