諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート63」だ。
諸君、子貢(しこう)は弁舌に長(た)けた秀才で、頭の切れ味は孔門弟子の中でも群を抜いていた。
しかし、子貢にとって顔回(がんかい)だけはどんなに努力しても越えるに越えられないライバルであったんだ。
「子貢よ、それがわかっていたら、出来ない約束はするものではないぞ。 以前に話したことがあるな! まず、恕(じょ)の心だ。 恕(じょ)の心とは、他人の心をもって自分の心とすること。 要するに他人の立場に立って考えなさいよということだ。 そして人からされたくないことは、自分からも人にしないことだ。」
「そのとき子貢は、私にこう言ったんだよ!」
子貢曰く、「われ人のことをわれに加うるを欲せざるや、われもまたこれを人に加うることなからんと欲す。」
子曰く、「賜(し)やなんじの及ぶところにあらず。」
「先生、私も同感です。 人からされて嫌だと思うことを人にしない。 私は、是非こうありたいと思っています。」
「子貢よ、どんなに口巧者(くちごうしゃ)に語っても、実践はむずかしいものだ。 おまえにそれができるかな? 私はそう答えたね! 子貢よ、この会話、覚えているな!」
子貢答えて曰く、「はい、先生。 覚えております。 申し訳ありません。 先生のおっしゃる通りでした。 以後、有意注意して重重(じゅうじゅう)気をつけます。」
子曰く、「ちょっとしたことだが、常々何を大切にして考えているかの人なりが他人に伝わってしまうものだ。 子貢よ、それに気づけばよい!」
「はい、先生。 明日、改めて用向きの御報告にあがります。 では、お先に失礼いたします。」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート62」だ。
諸君、舞台は変わってここは孔子書院の間であります。
子貢(しこう)曰く、「先生、申し訳ありませんが、すっかり話に夢中になってしまい、回(かい)さんとの待ち合わせ時間に遅れてしまいました。 大変貴重なお時間をありがとうございます。」
「それはいかんな!」
「回とはいつ約束をしたのだ!」
「はい、こちらへ赴(おもむ)くとき、道すがら、帰宅の途中の回さんを見かけました。」
子曰く、「それでどうしたんだ。」
「そのとき、いつもの回さんにしては、肩を落として元気がないようにお見受けしたものですから、こちらから声をかけました。 先生の帰参のご挨拶が済みましたら、留守中当番を回さんに代わっていただきましたお礼をこめて、久しぶりに二人して飲みませんかとお誘いしました。 回さんは、私の誘いを快く受けてくれましたので、居酒屋『ざ・論民』でPM7:00に待ち合わせをしましょうと約束をした次第です。」
子曰く、「そうか、待たせてはいかんな、早く行っておやりなさい。」
「はい、遅れるかもしれないので、回さんには、先に飲んでいて下さるように話しておきました。」
「子貢よ、いやいや、そうじゃないよ。 それはまずもっていかんな! 回は礼をわきまえている人物だ。 子貢がくるまで、だまって待っているのが回だ。」
「はい、そうです。 来るまで待っていると言っておりました。 律儀な方です。」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート61」だ。
諸君、神北(かんぺき)の心がチクチク痛むのは、本心良心の呵責(かしゃく)なんだね。
気が咎(とが)めてくる心境のことですが、これを「気咎(きとが)め」と言って、私が生前、人の誠の大切さや本心良心の話をする中でよく話をしたことなんだがね。
子貢(しこう)を待ちながら、悶々としていた顔回(がんかい)であったが、隣の部屋から子路(しろ)と神北にそっくりな声がもれ聞こえてくる。
「あれ、はてな? ひょっとしてあの声は、子路先輩と神北君じゃないか! もしかして、二人して隣の部屋で飲んでいるのであろうか?」
顔回、パーテーションに近づく。
口の中にたまった唾液をゴクッと飲みこみ、息を殺して、パーテーションに自分の耳をピタッとくっけた。
「おい、それはそれとして、顔回のやつ、相当まいってるみたいだな!」
「かなりまいっている様子でしたよ!」
「おお、そうか、ざまあみろ!」
顔回、パーテーションから耳を離した。
奥歯をグッと噛みしめながら、両こぶしを力いっぱい握りしめた。
顔回心の中で叫んで曰く、「間違いない。 子路先輩と神北君だ!」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート60」だ。
諸君、まさか、偶然、顔回(がんかい)が隣にいるとは・・・
悪いことは出来ないものだねぇ。
「ところで先輩、先生に何て言われたんですか?」
「定期講義に、俺もおまえも出てないものだから、注意されたんだ!」
「それだけですか、先輩。」
「それと、神北(かんぺき)には休まず講義に出席するようにと、子路(しろ)から伝えてくれとのことだ。 おまえ、明日から何もなかったかのように、平然として講義を受けるんだ。 いいな! 先生や回からいろいろ聞かれても余計なこと言うなよ!」
「はい、先輩は出席しないんですか?」
「俺か? 顔回と顔を合わせにゃならんからな… まー、そこらへんは上手くやるよ。」
子路曰く、「おい、それはそれとして、顔回のやつ、相当まいってるみたいだな!」
「かなりまいっている様子でしたよ!」
「おお、そうか、ざまあみろ!」
神北曰く、「先輩、何かだんだん顔回さんが気の毒になってくるんですよ!」
「神北よ、顔回に同情してるのか?」
「そう言う訳じゃないですが、回さんは、真面目だし、怒らないし、親切だし、努力家だし、先輩が嫌うような人物じゃないですよ!」
「神北よ! 何言ってんだ。 回は俺と違って、先生にズケズケ物は言わないし、くってかからないからな。 いい子ぶりっ子しやがって、先生に気に入られることばかり考えてんだよ。 そういうこすからいとこが俺は気に入らないんだ。」
「そうですかね~。 そんな風には見えませんがねぇ~?」
「おい、おまえはどっちの味方なんだ?」
「先輩、こう言っちゃ何ですがね、回さんの大きなどんぐりまなこで、さらに瞬(まばた)きしないで見つめられますとね、何か悪いことしてるのかなぁ?ってそんな気になってくるんですよ。 私のおむねが、チックチック痛むんですよ!」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート59」だ。
諸君、孔子塾の教育方針には、四つの重点があったんですな。
子、四(し)をもって教う。 文(ぶん)、行(こう)、忠(ちゅう)、信(しん)。
文は読書のことだね。
行は実践することだね。
忠は本心良心に従って、真心をこめて物事に当ることだね。
信は信義のことだね。
つまり、自分の本心良心に対して偽ったり欺いたりせず、真実で正しい人の道を守ることだね。
子路(しろ)と神北(かんぺき)、居酒屋「ざ・論民」の二階の小部屋に入る。
顔回(がんかい)がいる隣同士の、パーテーションで仕切られた背中合わせの部屋である。
神北曰く、「子路先輩、突然先生に呼び出されたんですよね?」
「ああ、そうだ! ま~ともかく、神北君、おつかれちゃん、乾杯!」
「先輩もお疲れさま!」
「ゴク ゴク ああ、この生ビールうめえ~! 最高!!」
「先輩それで先生に感づかれたんですか?」
「感づかれちゃいないぜ! 心配するな。」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート58」だ。
諸君、場面は、またまた居酒屋「ざ・論民」でありますぞ。
顔回と子貢の待ち合わせ時間のPM7:00はすでに30分以上も過ぎております。
PM7:30過ぎと言うことだね。
居酒屋「ざ・論民」玄関前であります。
子路(しろ)曰く、「おい神北(かんぺき)! 待たせたな。」
「子路先輩! 今私も来たばかりです。」
「おお、そうか。 いつもの部屋だ。 先にあがっていつものビールを頼んでおいてくれよ!」
「はい、チンタオのプレミアム生ビール(中)ですね!」
「そうだ、彼女に晩飯いらないって電話をしてくるから、すぐ上がっていくから先に飲んでいてくれ!」
「はい、わかりました。」
神北、つぶやいて曰く、「彼女もいないくせに先輩も見栄っ張りなんだよね! 彼女いるようなふりするんだからな。 孔子寮の寮母さんに晩飯いらないって電話しただけなのにねぇ~。 ま~、どうでもいいけど。」
ガラッ(居酒屋に入るドアの音です。)
「毎度、いらっしゃいませ!」
「亭主、二階のいつもの部屋を頼む!」
「どうぞどうぞ、ご用意してありますよ。 二名様ですね。 お二階にどうぞ!」
「おいおい、子路先輩のお気に入りの『“こ”の一番』の下駄箱がふさがっているじゃないか! 先輩、『”こ“の一番』にこだわるんだよな!」
「おい、亭主、だめだよ! 『“こ”の一番』の下駄箱は子路様専用にしておけって、この前も言っておいただろう!」
「お客様、そんな無茶なこと言われましても、ヨン様ならお店の宣伝になりますから考えてもみますが、世間一般のお客様のためだけには、ご用意できかねますので勘弁して下さいな!」
子路曰く、「おい、どうした神北!」
「先輩、今日は『“こ”の一番』が使われていますよ!」
「何にい! 『“こ”の一番』が使われているだと! 孔子大先生の一番弟子の子路様の『“こ”の一番』の下駄箱を勝手に使うふていやつはどこのどいつだ!」
「まあまあ、孔子一番弟子の子路様、ご機嫌直して下さいな。 お二人様にチンタオ生ビール一杯無料にしますから」
「亭主! 今何と言った? 孔子一番弟子の子路様と言ったかい?」
「はい、ナンバーワン弟子は、子路様以外他におりませんよ!」
「おおそうか。 まあ、しかたないな。 それで勘弁してやるか!」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート57」だ。
諸君、「論語と算盤」の中で渋沢栄一翁は、キリスト教の解くところの「愛」と論語の教うるところに「仁」とは、ほとんど一致していると述べているんだね!
キリスト教の方では、「己の欲する所を人に施せ」と教えてあるが、孔子先生は、「己の欲せざる所を人に施す勿れ」と反対に説いているのだ。
そこに、自動的と他動的との差はあるとしているが、この二者も終局の目的は遂に一致するものであろうと考えると述べておられる。
そうですよ、私天風からすれば、二者とも心一つのおきどころ。
それはね、どちらも端的に言って、「人の喜びをわが喜びとせよ!」これだね。
子貢(しこう)問うて曰く、「先生、二つ目は、孔門以外にも、職責の重い階級や、身分の高い階層の方々とお話をされる機会が多い先生は、私、子貢の感ずるに、いずれの時も相手に応じて的確に判断され、的を得た話をされるので、ただただ敬服しております。 まるで中村天風先生のようです。 先生は、当然のこと、もの知りなのはわかっておりますが、何か特別な秘訣でもあるのでしょうか?」
子曰く、われ知ることあらんや。 知ることはなきなり。 鄙夫(ひふ)あり、われ問うに、空空如(こうこうじょ)たり。 われその両端を叩(たた)きて竭(つ)くす。
子答えて曰く、「子貢よ、勉強好きという点では、私は誰にも負けないつもりだ。 だがここではっきりさせておくことにする。 私はもの知りだという評判は、実は間違っているのだ。 質問者があまりに無知で、何を聞きたいのかさえ要領を得ないんだよ。 そんな時、いろいろとこちらから聞き返して、質問者自身の疑問点を整理整頓をする。 本人が何が疑問なのかを理解におよぶように、はっきりさせてやるだけだよ。」
子貢曰く、「具体的な御教授、誠にありがとうございます。 精一杯努力いたします。」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風