諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート21」だ。
諸君、子路(しろ)という人物は、孔子一門の中で上位の年長者といわれているんですがね、そんな子路でありますが、孔子先生曰く、「やぶれた縕袍(うんぼう)を衣(き)て、狐貉(こかく)を衣(き)たる者と立ちて、恥じざる者は、それは由(ゆ)なるか。」と論語子罕(しかん)編にあるんだよ。
その解釈は、「由(子路)はどんな身なりでも、ボロをまとっていても、豪華な毛皮を着た人のそばに並ぶ。 それでいてちょっとも引け目を感じず堂々としてふるまっていられる者といえば、まず由だろうね。」つまり、着るものは頓着していなかったんだろうがね。
子路のポリシーとしては、「着ているものだけでは、真の俺の価値は判断出来るものではない。」と信念していたんだろうね!
つまり「ボロは着てても心は錦」だったんだね。
そんな子路でありますから、神北(かんぺき)のいでたちを見て、ただ単に姿形(すがたかたち)だけの体裁を整えることは、真の君子たりではないと考えていたようだ。
神北曰く、「そりゃないですよ、子路先輩のために衣装借りに走って、それから美容院に行って髪をセットして忙しかったんですからね! ひどいですよ!」
「わかったよ! すねるなよ! すぐ孔子先生に会うんだから機嫌(きげん)直せよ。 もうすぐ謁見の間だ! 神北、ちょっとそこで待っていろ! そうだ、お前手土産持って来たんだろうな。」
「はい、子路先輩の紹介状と干し肉と青島(チンタオ)ビールを手土産として持ってまいりました。」
「おまえ、粋なことするじゃねえか。 そういえば昨日の居酒屋「ざ・論民」でも青島ビール置いていたよな。」
「はい、そうなんですよ。 そこから孔子先生のお土産に持ってきたんです。 やはり、ジャーキーにはビールが合いますよね。」
「おまえ、請求書の中にあった『お土産代』はこのことか?」
「はい、そうなんです。 子路先輩に頼まれましたから、支払いは子路先輩に付けておきました。」
「なにぃ? 貴様、そんなことまでしていたのか? でも、孔子先生の故郷、山東省の青島ビールは、先生の大好物なんだよな。」
トントン! トントン!(これノックの音ですよ!)
「先生、子路です。 入門希望者を連れてまいりました。」
「おお、そうか。 お入りなさい待ちかねたぞ!」
「はい、入ります。」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート20」だ。
諸君、神北(かんぺき)の礼法にかなう作法は、一朝一夕には身につくものではないですよね。
彼は、身分の高いそれなりに教養を身に付けた方と推測できますよね。
しかし、まったくその様子に気づかない子路(しろ)先輩であります。
「子路大先輩、先輩との約束を果しましたよ。 ご門内に入ってよろしいですか?」
「おいおい、口上と御辞儀がえらくなげえなぁ~! 待ちくたびれちまったぜ! 早く入んな! 先生も首を長くして待っておられるからな!」
「先輩、では、入らせて頂きます!」
「神北よ、お前なんか勘違いしてんじゃないかい?」
「えー、何をですか?」
「うちの先生は、レッドクリフの諸葛亮(しょかつりょう)じゃないんだぜ! おまえ、ひょっとして蜀(しょく)の劉備玄徳(りゅうびげんとく)の三顧の礼をパクッて真似ているんじゃないかい!」
「そんなことしてませんよ! でも先輩、レッドクリフは私たちの後々の時代ですよ。 子路先輩、お言葉を返すようですが天風先生は『良いことは真似なさい』とおっしゃっていますよ。」
「はぁ? 何だ、その天風とやらは?」
「今から2500年の時空を超えた後の未来の私の先生になる方でありますよ。」
「神北、おまえ、頭いかれてるぜ! 神北よ、よく聞けよ! うちの先生は、俺の紹介状があって手土産持って行きさえすれば、よっぽどの悪党か、みょうちくりんの手合いじゃなければ、門人のはしくれにしてくれるんだぜ!」
「そうなんですか、先輩?」
「そうだよ! だいたいな、おまえのやり過ぎ! 嫌味! そういうの『いんぎんぶれい』っていうんだぞ!」
諸君、子路は先ほど孔子先生に「おまえの今日の態度は慇懃無礼(いんぎんぶれい)だぞ。」と言われたばかりだったね。
本来の意味を知らない子路でありました。
「慇懃無礼」とは、表面の態度は丁寧だが、心の中では相手を軽くみていることを言うんだね。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート19」だ。
諸君、神北(かんぺき)登場で、思わぬ展開になってきたね。
「天風さん、この創作物語、子路(しろ)の嫉妬話からいったい何を言いたいのか?」
その要旨がわからなくなっている方もおられるでありましょうが、ゆったり構えて気長に楽しんで読んで下され!
いずれわかるようになりますから。
神北、孔子塾正門にて、三回の礼を拝する。
神北曰く、「姓(せい)は京(きん)、名は田(でん)、字(あざな)は神北。 孔子先生閣下、並びに孔門関係各位に対して、三回の礼を拝したてまつる。」
「おいおい、神北よ、あまりかっこうつけんなよ! ここは、孔子神社じゃないぞ! 孔子先生もお待ちかねだ。 そこいらへんでやめとけ!」
神北、子路の言葉をカンペキに無視をする!
神北、正面を見たまま身じろぎもしない、続けて口上を述べる。
神北曰く、「第一の礼、万物の霊長たる人間として、素直な心になって、宇宙根本主体たる天の意志と天の叡智と天の力に対して、感謝と敬意の誠の礼を捧ぐ。」
神北、門前にて深々と御辞儀をする!
神北曰く、「第二の礼、万物の霊長たる人間として、素直な心になって、人倫の道に順応し同胞に対し尊敬の誠の礼を捧ぐ。」
神北、二度目の御辞儀をする!
神北曰く、「第三の礼、万物の霊長たる人間として、素直な心になって、森羅万象に現われたる万物に対して尊重の誠の礼を捧ぐ。」
神北、三度目の御辞儀をする!
意外にも、神北のとったこの礼のあり方は、ただものではない身分教養のある方に感じますね。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート18」だ。
諸君、どんなきっかけの出会いであっても、運命のいたずらであっても、人の縁(えにし)というものは、摩訶不思議なものです!
目に見えない、摩訶不思議な摩訶力が働いているんですな!
孔子塾正門前AM10:00であります。
正門門前に礼装に身をかため、髪の毛はきれいにすかれ結った男が立っていた。
まぎれもないその姿は、子路(しろ)がその到着を待ちに待っていた、昨日、居酒屋「ざ・論民(ろんたみ)」でタダ酒、タダ食いをした神北(かんぺき)であったのだ。
もっと驚いたことに、その頭(かしら)に身分官位を表す冠(かんむり)をいただいていたのだ。
「おいおい、神北、そのなりはいったいぜんたいどういうことだ! おまえ熱でもあるのかよ? 昨日『ざ・論民』で毒気のある珍味ばかりを食らったんじゃねえのか?」
「何をおっしゃっているのですか! 子路大せんせ~いせんぱい! これは、孔子君子大先生に謁見を許された、私こと神北の礼義というものです。」
「ほ~う、おまえいつからそんな真似できるようになったんだ!」
「いつからって、今日からですよ。 これも子路大先生への一飲一飯の恩義にむくいるためですよ!!」
「神北よ、人は見かけによらぬものだなぁ~!」
「何をおっしゃいますか子路先輩。 先輩に恥をかかせたくないからですよ!!」
「そうかいそうかい、うれしいこと言ってくれるじゃねぇか! ま~、入れ、入れ!」
「子路先輩、ちょっと待って下さい!! 先輩との約束を果させて下さいな!」
「ほぉ~、俺との約束? はて、なんだっけな?」
「昨日、『ざ・論民(ろんたみ)』で『明日AM10:00に正門前に立ったら、必ず三回の礼をつくすこと。 いいな!』 そう言ったのは子路様ではありませんか?」
「そうそう、そう言ったのは俺様であった。 わるい、わるい! 忘れていた! ゴメン!」
「先輩、では、さっそくに!」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート17」だ。
諸君、孔子先生は、いつもの習慣でAM8:00前に朝食をとられ、身支度をされて、AM8:30前には書院の間に入られる。
午前午後の講義録を見直されるのが日課であった。
書院の間とは、今風に言えば、居間兼書斎のことだね。
「先生、おくつろぎ中失礼します! 子路(しろ)であります。 入ってもよろしいでありますか?」
「おお、子路よ、お入りなさい!」
「先生、おはようございます。 先生におかれましてはご機嫌うるわしく存じ奉ります。」
「子路、どうした? 熱でもあるのか?」
「いいえ、いたって元気であります!」
「子路よ! よいか! 親しき仲にも礼儀ありというが、子路の今の態度は、慇懃無礼(いんぎんぶれい)というものなんだよ。」
「はぁ~、そうでありますか? 失礼いたしました。」
「ま~、それはよいとして、子路よ、私に何か伝えたい用件でもあるのかな?」
「さすがに先生、察しがよろしいですね。」
「お~お、普段の子路に戻ったね。 では、その用向きを言ってごらん!」
「はい、どうしても先生の門人門弟になりたいという者がおりまして、いきなりの今日の今日で申し訳ありませんが、是非先生にお目通りをして、門人の一人に加えて頂きたいとAM10:00にこちらにたずねてまいります。」
「ほう、そうか! それは、突然だな! 何か急ぎの訳でもあるのかな? 」
「いえいえ、そうではないと思いますが。」
「では、今日は会わなくてもよかろう。 こちらにも予定があるというものだ。 後日、日を改めてではまずいのかな?」
「はい、でももうすぐ来ちまいます!」
「そうかい! で、紹介者は誰かね?」
「はい、他でもない私なんです。」
「子路よ、君の紹介であるならば、事前に話が出来たのではないかな?」
「はぁ~、そうなんですが、個人的によんどころない差し迫った事情がありまして。」
「何を申しているのか、よくわからんが、ま~よい、子路の紹介とあっては無碍(むげ)にも出来んからな! 門人にするか、しないかは、人物を確かめてからにいたすが、よいか?」
「けっこうです! けっこうです! 先生が会って下さればそれだけでありがたいことです。」
「どうした? 子路よ。 そんなに喜んで! おまえまたよからぬたくらみでもあるのかい?」
「いえいえ、めっそうもございません。」
「子路よ、AM10:00に謁見の間で会うことにしよう。」
「はい、私が連れてまいります。 では、先生よろしくお願いいたします。(あ~、うまくいったわい、よかった~!)」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート16」だ。
諸君、居酒屋「ざ・論民(ろんたみ)」で、つくり笑顔とおべっか言って、自己正当化するための後輩の点数稼ぎの接待に追われた子路(しろ)でありましたが、門人のふりをした思いがけない男の登場で、また、子路の嫉妬劇が、新たな展開をみるんですな。
「ざ・論民(ろんたみ)」で打ち上げを終わって、孔子塾生寮に帰る道々でも、明日が来るのが待ち遠しくて、興奮さめやらない子路でありました。
「孔子先生に、明朝の8:30に先生の今日一日のスケジュールの掌握とご挨拶とご機嫌うかがいに参上して、おりをみて、神北(かんぺき)の入門の話をする。 先生、突然の話で何と言うかなぁ? 強引でも先生に会ってもらわなきゃならないからな。 まぁ~、後は、その場のなりゆきに任せよう! そんなことより、神北の野郎、ちゃんと来るかなぁ? こなきゃ、ただじゃおかねえからな! とにかく明日は明日の風が吹く。 明日はAM5:00起きだ!」
一夜明けて、早朝6:00孔子塾生寮門、通称、勝手口前。
「神北の野郎、約束の定刻になっても来やしねえ! ゆるさね~、逃げ隠れしても必ず見つけて手足の2~3本もへし折ってくれるわ!」
「せんぱ~い! 子路せんぱ~い! おはようごぜえます!」
「うるせえ~、声が大きい、静かにしろい! 寮生に聞こえるだろうが。 遅かったじゃねえか?」
「ええ、ちょっと飲みすぎちまって・・・ どうもあいすみませんです。」
「おまえ、その『せんぱ~い!』とのばすのやめろや! 『のだめカンタービレ』じゃないんだからな!」
「はぁ? 何ですか『のだめ』ってのは?」
「わからなきゃいい! 世間知らずなやつだ。 ほら、昨日話した手土産の干し肉だ。 そこに俺の紹介状が添えてあるから、受け取れ! 必ずそれを持ってAM10:00に正門に来いよ! 絶対に遅れるな。 それと、昨日俺がおまえにつけてやった、おまえの名前覚えているよな?」
「へえ、そりゃもちろん覚えておりますよ。」
「そうかい! じゃ、今言ってみろ!」
「へぇ~い! あっしの名前ですね。 へい! 姓は車、名は寅次郎。 人呼んで、フウテンの寅とはあっしでやす!」
「バカ野郎! そりゃ、『男はつらいよ~寅次郎、片思いの恋・嫉妬編』じゃねぇか!」
「子路大先生! 冗談ですがなぁ~。 へえ、ちゃんとわかっておます。 姓は京(きん)。 名は田(でん)。 字(あざな)は神北(かんぺき)、かんぺきでしょ! 子路大先生!」
「わかったわかった、いいか、孔子先生の前で俺の事、大先生と言うんじゃないぞ、いいな!」
「へぇ~! 合点しょうちのすけですよ!」
「調子に乗るな! 人目につくといかんから、さっさと帰れ! AM10:00正門でな!」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート15」だ。
諸君、孔子先生、生前の春秋(しゅんじゅう)時代の礼にかなった習わしとして、入門の時に師に贈る礼物(れいぶつ)、つまり手土産が必要だったんですな。
「なにぶんよろしくお願いします。」というときの挨拶として、手ぶらでは師に失礼ということで手土産を持参したんですね。
その当時の中国では、家臣や弟子になる時に、持っていった干し肉の束の手土産のことを「束脩(そくしゅう)」と言うんですよ。
プチうんちくですぜ!
子路(しろ)大先生、答えて曰く、
「引き受けてくれるか。 ありがとうよ。 じゃあ今から手はずを教えるから良く聞けよ、いいな。」
「何かあるんですか?」
「いいから、だまって聞きな。」
「はい。」
「神北(かんぺき)、おまえは明日から門人だ。 そこで門人になるためには規定の手続きがあるんだ。 その規定の手続きをふんでいれば、たとえおまえだろうと、神田北京ダックだろうと、ドナルドダックだろうと、相手がどんな人間でも先生は入門を拒まないんだ。 その規定の手続きはというと、同門の口添え、つまり、門人の推薦と初めて教えを請うときの手土産のことだ。 最低は、干し肉を束にしたもの1つでいいんだ。 これを手渡すから、明朝、6時に裏門に必ず来いよ。 それからAM10:00に正門の入り口で待っているから必ず、門前で3回お辞儀をして入ってこい、神北君、いいな。」
「へぇ、がってんがってんしょうちのすけ。」
「調子に乗るんじゃないぞ。 必ず手はず通りにしろよ。 明日は孔子先生に引き合わせるからな。 来ねぇとただじゃおかねえからな。 おまえと俺の話は他言無用だからな。 今日はほどほどに楽しんでくれたまえ、神北君!」
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風