本日の一日一話。
天風人語のテーマは「善いことは徹底してまねる パート8」だ。
諸君、昨日の話の引き続きです。
因(ちな)みに山岡鉄舟は、身長六尺二寸(188センチ)、体重二十八貫(105キロ)という堂々とした大柄な体格なんだよ。
その当時では、見た目だけでも威圧感はすごかったんだろうね!!
今時でいやあ、プロレスラーか野球選手で元ジャイアンツの清原選手バリのガッチリした体格だったんだろうねえ。
「本物かね?」と聞くと、「真筆に間違いありません」と言い切る。
そこで、鉄舟は主人に「お前は山岡という人を知っているのか?」と言うと、「ええ、よく存じ上げていますとも」と当の本人の鉄舟を本人とも知らずに平然と言うので、実は俺が正真正銘の山岡だと言おうと思ったが、あまりにもその掛物の字が見事(みごと)なので、「ずいぶんうまく書けているね」と言うと、店の主人がこう言った。
「これは、山岡大先生の傑作中の傑作なんです。 実は故あってありがたいことに手に入りましたものです。 めったにない掘り出し物ですから、いかがですか、お求めになられては・・・」
「この山岡大先生のこの書軸は因(ちな)みにいくらだね?」と訊ねると、「本当は十両と申し上げたいのですが、今夜の初めてのお目が高いお客様ですから、清水の舞台から飛びおりたつもりで、喜んで半値の五両にさせていただきます。」と言う。
鉄舟は笑いをこらえてはいたが、あまりにも主人の堂々とした振る舞いに、こらえきれずに思わず「アハハハハー、アハハハハハー、アハハハハー。 実に愉快だ。 知らなかったこととは故、鉄舟の名をかたられるほど俺も有名になったものだ。 偽物とはいえ、ずいぶんと値打が出たものよ。 これ主人よ、山岡大先生の書軸とあれば、これは値打もの! 主人の言い値で求めてつかわすぞ」と即座にそれを買い求めたので、そのやりとりの一部始終を傍らで見ていた泥舟が、「よせよせ、全然覚えのない偽物なんか五両で買うなよ!」と鉄太郎をいさめるように言った。
この話の続きは明日また・・・では。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風