2010年8月7日土曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート196

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート196」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

さて、私の爺(じい)は夕飯の場合には必ず四つも五つもお膳(ぜん)を並べて、腰元が三人もかしずいて晩酌(ばんしゃく)の楽しみを毎晩やることになっています。
そうすると必ず私が呼び寄せられる。
で、言うことがもう紋切り型、判で押したようなことを言うんです。
「そちの好めるものを食(しょく)せ。 もっと近(ちこ)うまいれ。 よく眼(まなこ)をすえて爺の額(ひたい)を見ろ」
額に三日月型の刀傷があるんです。
それが自慢なんです。
私の爺というのは。
「これは戦場出途(しゅつと)の往来によって男の誇りの向こう傷じゃ。 よくうけたまわれ。 男が戦う際は腕じゃないぞ、度胸だぞ。 いかに腕前が優れてるといえども、度胸がなければ必ずその戦いに負ける。 爺が何べんものう、戦場を往来しても、この傷だけでもって命を全うしたのは、自慢するわけじゃないが、しいだま(=度胸)があったからじゃあ。 いざという時は度胸ぞ」
これが必ず爺が私にいう毎晩の言葉なんです。
もう毎晩ですから知っているんです。
「近うまいれ、好めるものを食せ。 眼をすえてよくこの傷を見い」
もうちゃんと何もかも知っているんだ。
こっちはとにかくお膳のものを食いさえすればいいんだ。
何のこともなく思っていた。
むしろ毎晩毎晩の話を飽きっぽく聞いていたやつが、こんど真剣で命のやり取りをする時です。

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年8月6日金曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート195

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート195」だ。

諸君、子路(しろ)の少年の勇気と度胸は父方のおじいさんの何に故に由来しているのか?
やはり「三つ子の魂百までも」と言うが、幼少の折に聞かされた話というのは、要するに潜在意識の中にインプレス(刻印)されるんですよ。
私が初めて満州で真剣の勝負をしたのは十八歳の時であります。
錦州城(キンシュジョウ)と九連城(キュウレンジョウ)の偵察の任務を参謀本部から仰せつかった河野金吉(こうのきんきち)という人の鞄持(かばんも)ちして十六歳の時に今の満州へ入り込んだわけなんだ。
そうして、生れて初めて真剣の前に命のやり取りをする土壇場(どたんば)に立たされた。
ほとんど無我夢中ではあったけど、その時フゥーッと私の気持ちの中に小さい時、毎夜毎夜、耳にタコが出来るほど聞かされた、私の爺(じい)の言葉をヒョイッと思い出したんです。
私の爺というのは初代の柳川藩主伯爵立花鑑徳(たちばなかんとく)で、私の幼少の名前は三午(さんご)と言った。
それは午(うま)の月の午の日の午の刻に生まれた、その三つの午というので三午という名前だった。

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年8月5日木曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート194

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート194」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

顔回(がんかい)曰く、「子路(しろ)少年は勇気と度胸がありますね! 子路少年の勇敢さはどこに由来しているのでしょうか?」

子路(しろ)曰く、「回(かい)よ! いい質問だ。 父方のじいさんは、天風先生のおじいさんと同様に額(ひたい)に三日月型の刀傷(かたなきず)があったんだ。 毎晩の晩酌で一杯やってほろ酔い気分になると必ずこの刀傷を人差し指で大袈裟のポーズでこれ見よがしに指して自慢するんだぜ。 『パッァ! この額の刀傷が目に入らぬか! よ~く見ろよ! これが天下御免の向こう傷じゃ。 男が戦う際は腕じゃないぞ、度胸ぞ。 パッァ!』とお決まりの文句を言うんだ。 毎晩のこの言葉が幼い俺の心の潜在意識層にしっかりと刻印されていたんだな。 きっと!」

顔回曰く、「『旗本退屈男』の早乙女主水之介の決めゼリフにそっくりですね!」

子路曰く、「そうだな。 俺は幼い子供だったので、誰のセリフだろうが、毎晩言われ続けるとじいちゃんの真似を自然とするようになったんだ。 小さな額に墨つけて『パッァ! この額の刀傷が目に入らぬか! よ~く見ろよ! これが天下御免の向こう傷じゃ。 男が戦う際は腕じゃないぞ、度胸ぞ。 パッァ!』 それを見てじいちゃんも喜んでくれたんだ。 この歳になってもその言葉を俺は戒(いまし)めにしているんだぜ。」

子貢(しこう)曰く、「やはり幼い頃に自然に覚えたものは、後々すごい力となって働くんですね! 先輩、勉強になりました。」

顔回曰く、「話の続きをお願いします。」

子路曰く、「隣の女子がいる教室から遊園地の絶叫マシンが怖くって逆さになった時の悲鳴に近い悲鳴がした。 俺と陽明(ようめい)はすぐ隣の教室に向かった。」

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年8月4日水曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート193

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート193」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「俺は陽明(ようめい)の手を引っ張って廊下を突っ切って、二階の階段を駆け上がり皆のいる教室の戸の前に戻ったんだ。」

顔回(がんかい)曰く、「そのおやじグモは追っかけてこなかったんですか?」

子路曰く、「どうしてかは知らないが追っかけてこなかったんだ。 教室の戸の前で二人して『ハァ! ハァ!』と息を切らせながら『先生! 玄徳(げんとく)が妖怪グモに捕まって食べられちゃうよ。 早く助けに来て下さい!』と二人して叫んだんだ。 ところが中から返事がない。 戸を開けて入ろうとしたんだが、戸が何かに引っかかって開かないんだ。 『おかしいなぁ。』と思ったが、何とかしなくちゃならない。 思いきって戸に体当たりした。 戸がはずれて教室を覗いてみると・・・」

顔回つばをゴクっと飲み込みながら曰く、「・・・ のぞいてみると・・・。 それから・・・」

子路曰く、「のぞいてみると・・・、何と付き添いの先生と男子全員が ♪『いーとーまきまき、いーとーまきまき』♪ 蜘蛛の糸に巻かれて、まかれて、まかれて、ぐるぐるまきになっていたんだ。」

顔回曰く、「それって妖怪グモではなく、エイリアンの間違いじゃないですか?」

子路曰く、「まさしく、エイリアン蜘蛛と言っても過言ではないな! 陽明と二人してその光景に唖然としたんだ。」

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年8月3日火曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート192

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート192」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

顔回(がんかい)曰く、「先輩どうして妖怪グモだとわかったんですか? やはり霊感でしょうか?」

子路(しろ)曰く、「蜘蛛の巣で、蜘蛛の糸に巻かれているんだから普通に考えても蜘蛛だよな! ましてや子供であっても人間が身動きできないほどの蜘蛛であれば、尋常じゃないよな。 それで妖気も感じていたから妖怪グモに間違いないと直感したんだ。 わかりやすいだろ。」

子貢(しこう)曰く、「その妖怪グモは人間をエサにするなら、人食いグモですよね! 目に見えない次元の違う妖怪が人間を実際に食べるんでしょうかねぇ~。 信じられませんがね。」

子路曰く、「子貢、お前いちいちケチをつけるね! 身の危険を感じる時の本能がはたらいて俺は子供なりに食われちまうと直感したんだ。」

顔回曰く、「それはそう感じてあたり前です。 その先をお願いします。」

子路曰く、「陽明(ようめい)が教室の戸をに引いて開けようとする刹那、蜘蛛の糸が『シュー』ととんできたんだ。 陽明は戸にべったりと貼りつけ状態にされたんだ。 俺はとっさに蜘蛛の糸がとんできた方向を懐中電灯で照らした。 その先には口先だけは蜘蛛の口でおやじの顔をしたさえない妖怪グモがいたんだ。」

顔回曰く、「それでどうしたんですか!」

子路曰く、「俺の方へ向かって来たんで懐中電灯をおやじグモの顔に目がけて投げつけてやったんだ。 そうしたらピンポイントで頭に命中した。 やつがひるんだすきに引き戸を蹴破り陽明を引きずり出して『先生助けて~』と叫びながらひたすら廊下を走って逃げたんだ。」

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年8月2日月曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート191

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート191」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子貢(しこう)曰く、「まさか先輩が小学生のころから霊感があったとは知りませんでしたよ。」

神北(かんぺき)曰く、「子路(しろ)大先輩は実は霊能力者だったんですか? そんな風にはみえませんですよね!」

子路曰く、「神北よ、大人に成長してからは、さっぱりない! 今はまるっきり何も感じないぜ!」

顔回(がんかい)曰く、「話を進めましょうよ! 妖気を感じて、それからどうなったんですか?」

子路曰く、「俺は陽明(ようめい)のリュックにぶら下がっていた懐中電灯を取りだし、薄暗い教室内を照らしてみたんだ。 周りをよく見ると、蜘蛛の巣だらけで不気味だった。 天井を照らしてみるとそこには突然いなくなった玄徳(げんとく)が蜘蛛の糸に巻かれて身動きができずにもがいていたんだ。 ちょうどもがけばもがくほど糸がからまり力尽きて行くセミにそっくりだった。 『おい玄徳大丈夫か? 俺だ、子路だ! 口がきけるなら返事をしろ。 今先生を呼んで助けてやるから待っていろ!』 玄徳の返答は帰ってこなかった。 玄徳はすでに力尽きてぐったりしていたのだ。 天井の奥に玄徳をこんな目に合わせた得体のしれない化け物がいるのを感じたんだ。 『おい、陽明! 玄徳が危ない! 妖怪グモのエサにされちまうぞ! 急いで先生たちを呼んで来てくれ! 急げ!』」 

この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年8月1日日曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート190

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート190」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「俺は陽明(ようめい)の着替えを手伝ってやりながら、
路:『おい、陽明、お前の見た女の子は俺の見た女の子と同じ子だろう! それとお前の後について来た玄徳(げんとく)を見なかったか?』
陽:『個室トイレに入る時には、玄徳ちゃんを小使用のトイレで用を足しに来たのを見かけたのが最後ですよ。』
路:『おい陽明、何か変じゃないか? もしかして俺たちとんでもない林間学校に来ちまったかもしれないぜ。』
陽:『子路ちゃん、それどういうことだい? もしかしたら〝金田一少年の事件簿“のようにこの学校で林間学校殺人事件が起こるとか?・・・』
路:『いいか、陽明この校舎全体を何者かに監視されている気がするんだ。 つまりお化けか妖怪かわからないが、何かこの世ならざるものがうようよしている。 この学校の校門に入ってからずっと俺の髪の毛の霊感センサーがかなり強い妖気を感じとっていたんだ。』
陽:『子路ちゃん、まるでゲゲゲの鬼太郎だね! すごいよ。』
路:『さっきからこの教室も妖気が漂っている。 何かいるぜ!』
陽:『でも子路ちゃん、お化けには学校も試験も何もないはずだよね! 何で学校に出てくるんだろうね!』
路:『お前〝学校の怪談“見たことないのか?』」


この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風