2010年11月27日土曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート308

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート308」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子貢(しこう)曰く、「先生! それが決め手なんですか?」

子曰く、「そうだ! 私亡き後の孔子一門を引っ張っていける一番の資質を回(かい)のそれに見出したんだよ。」

子貢曰く、「先生、それを知っていて何故、私ども愛弟子に話してくれなかったんですか?私は先生から話を聞いていれば、回さんの跡目襲名を心から祝えたのですが・・・」

子曰く、「それは、私の勝手な一存だ。 でもいいんだよ。 私のことを理解してくれなくてもいいのだ。 天が知っておられれば・・・」

子貢曰く、「どうしてですか。 大勢の弟子が先生の人となりを知っていますよ。 それに先生は有名人じゃないですか。」

子曰く、「子貢よ! 名が知られていることと、私のことを心から理解してくれていることとは別だ。 天を恨まず、人を咎めず、コツコツ精進して学問を究めてきた私の努力を理解して下さるのは天だけだろう。」

子曰く、我を知ること莫(な)きかな。 子貢曰く、何為(なんす)れぞ其れ子を知ること莫(な)からん。 子曰く、天を怨みず、人を尤(とが)めず、下学(かがく)して上達す。 我れを知る者は其れ天か。

子貢曰く、「先生、回さん、子路(しろ)先輩を理解するよう努めます。 今は、回さんに嫉妬したことを恥じております。 先生、お許し下さい!」

子曰く、「許すも許さぬもない! 子貢よ、これからも力になってくれ。 よろしく頼む。」

子貢曰く、「こちらこそよろしく御指導下さい!」

子曰く、「それで、用向きの報告のことだが・・・ 神北(かんぺき)の素性がわかったかね?」

子貢曰く、「はい、わかりました。」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月26日金曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート307

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート307」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子曰く、「子貢(しこう)、お前は、私が回(かい)だけ可愛がって、身贔屓(びいき)していると思っているのかい?」

子貢曰く、「はい、子路(しろ)先輩も、先生が『回よ、回よ』と言って回ばかり可愛がる! そんな回さんに嫉妬していたんです。 少なからず、私も嫉妬していました。」

子曰く、「ほう、子貢も回に嫉妬していたのかね! それは私も気付かなかった。 共に高めあう誠に良きライバルで、二人を見ていて頼もしく感じているんだ。 私亡き後の塾をしょって立つ人物は、回と子貢の二人に間違いないと思っている。」

子貢曰く、「先生のお気持ちも知らずに勝手なことを申し上げてすみません。 私は、率直に言って、無口で愚鈍な回さんばかり可愛がる先生の気持ちがわかりません。 総合講義中もずっと考えていました。 何故、後継者に回さんが選ばれたのか? やはり、先生は、回さんがただただ可愛いだけなんだと・・・ 正直なところ、先生にがっかりしたんです。」

子曰く、「それは、それは、がっかりさせて申し訳なかった。 では、何故回に決めたのか。 その理由を話すとしよう。 それは、子貢の今言った、無口で愚鈍なところだよ! それが、回に決めた理由だ。」

子貢曰く、「え~、それは本当ですか?」

子曰く、「そうだ。 以前に回と一日中一緒に居て、喋るのはこっちばかりで、彼は、無口で全く反論してこないし、こいつバカじゃないかと思いたくなることがあったんだよ。」

子貢曰く、「へぇ~。」

子曰く、「ところが、一旦引きさがってからの彼の行動を見ていると、私がハッと気付かされるようなことが何度もあったんだ。 回は、バカどころじゃないさ。 人間の賢愚や優劣の尺度は弁舌の才なんかではないんだよ。 あきれるほどの愚直な一途さなんだよ。」

子曰く、吾れ回と言うこと終日、違(たが)わざること愚(ぐ)なるが如し。 退きて其の私(し)を省(み)れば、亦た以って発するに足れり。 回や愚ならず。

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月25日木曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート306

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート306」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子貢(しこう)曰く、「はい、先生の洞察力とご配慮、恐れ入りました。」

子曰く、「子貢よ、それは意味の取り違えだ。 私は愛弟子に対しては、真心で接しているつもりだ。 かけ引きなどしようとは思っていない。 回(かい)や子貢に対しても同じだ。」

子貢曰く、「失礼なことを申し上げました。」

子曰く、「いやいや、気にすることは無い。」

子貢曰く、「昨日、回さんと飲んでいたんですが、今日の跡目相続の話は知りませんでした。回さんも驚いた様子でしたが、何故、回さんや愛弟子に内緒にしておかれたんですか?」

子曰く、「内緒にして隠すつもりはまったくなかったんだ。 まず、子路(しろ)に話をして、了解すれば、愛弟子を集めて、私の跡目を回に引き継いでもらおうと思っていたんだ。 しかし、話をしようにも子路が講義にも出てこない。 私のところにも顔を出さないので、やむにやまれずの、きょうの突然の発表となった次第だ。」

子貢曰く、「そうでしたか。 それで、回さんにお決めになったのは何故ですか?」

子曰く、「生きていれば、息子の鯉(り)が継ぐべきところだろうが、私は、はなっから身内を後継者にしようとは考えていなかったんだよ。 身内をのぞいた弟子の中からこれはという人物に引き継いでもらおうと決めていたんだよ。」

子貢曰く、「それで、何故回さんに?」

子曰く、「回は、私と苦楽を共にしてきた先進の一人だが、回に決めたのはそういう理由ではない。」

子貢曰く、「では、私でもチャンスがあったということですか?」

子曰く、「もちろんだ。 それは愛弟子全員に言えることだよ。」

子貢曰く、「そうですか。 で・・・回さんに決めた訳とは? 率直に話して頂けませんでしょうか。」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを


天意天風

2010年11月24日水曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート305

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート305」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

30分ほどして先生が、書院の間に入ってこられた。

子曰く、「子貢(しこう)、待たせたね!」

子貢曰く、「いいえ、先生もお疲れのところ、わざわざ私の為にねこ屋の栗ようかんを買いに行かれたと家人の方よりうかがいました。 お気遣い申し訳ありません。」

子曰く、「いやいや、今朝がたはバタバタしてしまって、うっかり家人に言いつけるのを忘れたまでだ。 特別気遣いなどはしておらんよ!」

子貢曰く、「今日の総合講義の中で、子路(しろ)先輩が私に気遣いをされていると言っておられ、先生も『そうだ。』と答えられました。 私は、先生に気を遣わせてしまう何かがあるのでしょうか?」

子曰く、「私は、子貢に気遣いをしている訳ではない! もちろん、親しき仲にも礼儀というものはある。 しかし、愛弟子に対しては私流の『恕の心』を表したまでだ。」

子貢曰く、「先生流の『恕の心』ですか。」

子曰く、「そうだよ! 私流の思いやりだ。 私がそうしたくて、しているだけだよ。 それは気遣いじゃない!」

子貢曰く、「では、何故先生は、子路先輩に『気を遣っちゃった』と言われたんですか?」

子曰く、「それは子路の気質をよく知った上でのことだよ。」

子貢曰く、「先輩の気質を知った上で・・・」

子曰く、「子路は、ああ見えて、後輩思いの優しいところがある。 子貢もわかっているだろうが、自分一番じゃなければすまないお山の大将だ。 そんな性格から、彼には、心を割って素直に話が出来る友人が一人もいないんだよ。 私は立場上では、師と弟子の関係であるが、子路とは、心を割って話せる一番の友人でありたい。 私より、九つ下で、実の弟ぐらいの年だ。 身内にもできないほど、命がけで私を守ろうとしてくれる奴だ。 私はその心に、私流の『恕の心』で子路に報いたいのだ! 彼に報いるとは真の友人として言いたいことを言える遠慮のない間柄でいることなんだよ。 何をしでかすかわからない奴だが、守らなきゃならない大切なものがある時、彼は分別を弁(わきま)えながらも必死で守ろうとする。 その時の子路は、士たりえているんだよ。 私はそんな子路が大好きなんだ。 子貢よ、わかってもらえるだろうか?」

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今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月23日火曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート304

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート304」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

しばらくして、下男が戻って来て曰く、「子貢(しこう)さん、先生は只今着替えてられておいります。 先生から『待たせてすまんが、着替えが済み次第すぐ行く。』とのことです。 もうしばらくお待ちください。」

子貢曰く、「はい、お待ちしております。 使い立てをして申し訳ありませんが、待たせている私の下男に2時間ほどかかるので、食事に行って来るように伝えて下さいませんか。」

家人下男曰く、「はい、わかりました。 お伝えしますが、お付きの方のお食事はこちらでご用意させて頂きますので、ご心配なさらないで下さい!」

そこに家人の下女がお茶を持って入って来た。

家人下女曰く、「お茶をお持ちしました。」

家人下男曰く、「さあさあ、お茶が来ました。 もうしばらくくつろいでお待ち下さい。」

子貢曰く、「あっこれ! 私の大好物です!」

家人下男曰く、「はい、子貢さんが来られうから、講義の後、寄り道されて、ねこ屋の栗ようかんを買って来られたそうです。 それで遅くなってしまったと言っておられました。」

子貢曰く、「え~、私の為にわざわざ買いに行かれたんですか?」

家人下男曰く、「はい、先生らしいですよ!」

子貢曰く、「先生は、私に気を遣っておられるのですね。」

家人下男曰く、「いえいえ、気を遣っておられるというより、先生はそういう方なんですよ。」

子貢曰く、「はい、そうですよね!」

家人下男曰く、「それでは、私はこれで失礼します。 ごゆっくりどうぞ。」

子貢呟いて曰く、「先生は私をそんなに気遣っておられたのか・・・」

先生のさり気ない気遣いに熱いものがこみ上げてくる子貢であった。

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今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月22日月曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート303

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート303」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子貢(しこう)曰く、「大変とは、何かあったんですか?」

家人下男曰く、「子路(しろ)さんのお部屋にカギがかかっていて、ドアを叩いても起きないんですよ! それで、先生自ら寮に来て、私がバールでドアをこじ開けて入ったんですよ。」

子貢曰く、「どうして、そんな無茶なことをしたんですか?」

家人下男曰く、「先生の御命令なんです。 中に入ると、押し入れの中で子路さんが高いびきで寝ていたんです。 ずいぶんとお酒を召し上がったようで、部屋の外まで酒臭くてたまりませんでした。」

子貢心の中で呟いて曰く、「さもあらん。 論民でずいぶん飲んだからな!」

子貢曰く、「それで、先生、どうされたんですか?」

家人下男曰く、「呼んでも起きないものですから、業を煮やした先生は、私にバケツに水を汲んで来るように言われまして、そのバケツをとって、子路さんの口に流し込んだんですよ! それで殺されると子路さんが飛び起きたんです。 先生はすかさず、耳元でバケツを叩いて追い打ちをかけんたんですよ。」

子貢曰く、「ひどいことをしますね! 先生がしたこととは、到底思えません! それって本当のことですか?」

家人下男曰く、「はい、御止したんですが、『かまわん!』と言われて・・・」

子貢曰く、「そうですか。 そうまでして子路先輩に話したかったことは?」

家人下男曰く、「はい、跡目相続を回さんにするための承諾です。」

子貢曰く、「そうですか。 先生は、回さん贔屓(びいき)ですからね!」

家人下男曰く、「いえいえ、先生の肩をおもみしている時に、『回と子貢は良きライバルだ! 私亡き後は、この二人が孔子塾を引っ張っていってくれる。 私は良き弟子を持った。』と嬉しそうに話してくれましたよ。」

子貢曰く、「え~、先生はそんなこと言ってたんですか!」

家人下男曰く、「はい!」

正門の外で馬の嘶(いなな)く声が響いた。

家人下男曰く、「先生の御帰りです! 子貢さんが来られていることを伝えてまいります。 では、失礼します。」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月21日日曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート302

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート302」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

総合講義で子路(しろ)に槍玉(やりだま)に挙げられた子貢(しこう)であったが、実は孔子先生の言葉に傷つき、心の中の孔子先生に反面していた。
子貢心の中で反面して呟いて曰く、「『いつもは回(かい)にライバル心むき出しの負けず嫌いの子貢にしては、バカにしおらしい返事だったからね。 私も気を遣っちゃってね! “子貢よ、そうだろうな。 お前ばかりか、私だって回には及ばないもんなぁ”と慰めてやったそうだ。 そうですよね、先生!』・・・『そうだ! そのように子貢に話をしたよ。』・・・先生は俺に気を遣われていたんだ。 子路先輩も子路先輩だ。 何も大勢の弟子の前で恥をかかせなくったっていいじゃないか! 俺は先生に嫌われているんだろうか?」

得心がいかない憤りと、先生のためならという気概が崩れ落ちそうになっていた。
しかし、神北(かんぺき)の素性についての報告の義務を果たすべく孔子の自宅へ向う子貢であった。
孔子先生は、従者を伴っての帰宅の途中であった。
子貢の大好物のねこ屋の栗ようかんを従者に買いにいかせたため、帰宅がおくれたのであった。
一足早く着いた子貢は、家人に書院の間に通された。

子貢曰く、「先生は、まだお戻りになられていないのですか?」

家人下男曰く、「はい、まだお帰りになられていません。 先生も朝から寮にお出かけになったので、疲れてどこぞで休んでおられるのでしょう。 子貢さん、お茶をお持ちしますから、しばらくここでお待ち下さい!」

子貢曰く、「え~、先生、何か寮に用があたんですか?」

家人下男曰く、「はい、子路さんが、この頃自宅にも顔を見せないもので、私が呼びにやらされたんですよ。 それからが大変だったんですよ!」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風