2010年11月6日土曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート287

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート287」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

昨日から深夜まで居酒屋「ざ・論民」で飲んでいた四人の一人である顔回(がんかい)は、2~3時間の睡眠をとって、隙間風の入るあばら家の裏の畑でいつもの畑仕事を終えて、先生と子路(しろ)との内内の約束を知る由(よし)もなく、神農廟大ホールでの講義の準備に早めに出かけていった。

子貢(しこう)は子貢で、朝、起きるやいなや、従者に朝風呂の準備と講義の後に控えている先生に神北(かんぺき)の氏素性(うじすじょう)について改めて報告に伺うため、今日はフォーマルな衣装を用意するように申し付けた。
子貢は商家の生まれで、生まれ持っての商才があった。
子貢は副業でインサイダー取引すれすれの利殖をして、投機で大儲けをしていた。
そのため、山の手の高台に邸宅を建て、使用人を雇って住んでいた。

神北は神北で、子貢同様、商家の下男に、風呂を焚くように命じた。
神北の部屋とお出かけ着は、芳しいお香の香りで焚(た)き染(し)められていた。
実は、神北が離れを借りている商家の主だけが、神北の氏素性を知っていた。
主人の特別な賓客であると家人には伝えられていた。
そのため、神北は、特別な待遇がなされていた。
商家の離れにある主(あるじ)専用の書院の間には、神北用の硯(すずり)と木札がおかれていた。
出掛ける前に、前日の報告を故郷に送るつもりであった。

孔子、子路、顔回、子貢、神北、それぞれに思いを秘めて、農廟大ホールに赴いて行った。
そこには、孔子先生の命により、壇上に十大弟子の席が既に用意されていた。

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月5日金曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート286

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート286」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子曰く、「では、そういうことで。 私は講義の準備があるので、帰る。」

子路(しろ)曰く、「先生、俺は顔回(がんかい)の跡目について何か話さなくてもいいんですか?」

子曰く、「余計なことは、言わなくてもよい! そこに居てくれるだけでいいよ。 ・・・そうだ、礼服で来てくれ! 子路は、それだけでよい!」

子路曰く、「それはどういうことですか?」

子曰く、「子路が礼服で来れば、塾生連中の身が引き締まると言うものだ!」

子路曰く、「そんなことで、身が引き締まるんですか?」

子曰く、「人は見た目を九割重視するものだよ! 子路が改まってそこに座っているだけで、塾生連中は『今日は何かある! いつもと違う!』と憶測するものだ。」

子路曰く、「そんなもんですかねぇ~。 わかりました。 寮母に頼んで、司会典礼用のスーツを借りてこさせます。」

子曰く、「では、神農廟ホールで待っている。 午後1時半からだ。 30分前にきてくれ。いいね!」

子路曰く、「はい、早速仕度いたします。」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月4日木曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート285

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート285」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「『一を訊いて一を知る』 先生でもその実践となると道半ばなんですか!ふ~ん・・・ それでは、俺は先生と同類ということですよね!」

子曰く、「そうだ、子路も私もその途中の道にある者だよ!」

子路曰く、「そうなんですか・・・知りませんでした。 先生も俺も一緒なんだ。」

子曰く、「そうだ、一緒なんだよ。 お互いに類友なんだぞ!」

子路曰く、「類友ですか・・・ 先生が『お互いに年をとったな!』と言われたんで、昔から、『同類相(あい)憐(あわ)れむ!』と言うじゃないですか、おいぼれ同志の同類かと勘違いしちゃいましてね! そういうことなら、合点がいきました。」

子曰く、「子路よ、それを言うなら『同病相憐れむ』だろ。 まあ、よい。 私達は次の時代をリードする若者たちに受け渡していく義務があるんだよ。 その義務を果たすために、子路よ、類友だからこそ、子路に力を貸して欲しい!」

子路曰く、「そういうことなら任しておいて下さいよ! 馬を何頭用意したらいいんですか?」

子曰く、「それは馬力じゃないか! 馬の力はいらん! 子路の力が必要なんだ。」

子路曰く、「はい、いくらでもお貸いたします! 利息はいりませんから。」

子曰く、「それでは、子路は快く承知してくれるんだな!」

子路曰く、「はい! 先生の御力になれるんなら、合点、合点承知之助です。」

子曰く、「今日の午後から神農廟大ホールで、塾生総合の講義がある。 その講義の前に顔回(がんかい)を跡目にすることを発表させてもらうが、子路も演壇の上で同席してもらいたい!」

子路曰く、「へぇ~、もうそんな段取りになっていたんですか。 ・・・それで急いでいた訳だ。」

子曰く、「子路、よろしく頼む!」

子路曰く、「はい、この子路様にお任せ下さい!」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを


天意天風

2010年11月3日水曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート284

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート284」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「先生、そんなに俺を評価してくれていたんですか? も~、そ~ならそうと、はっきり言って下さいよ! そうとわかっていたら、顔回(がんかい)なんかに嫉妬なんかするんじゃなかったなぁ~も~。 先生のいけず~。」

子曰く、「子路、顔回に嫉妬していたとは、何のことだ!」

子路曰く、「いえいえ! それは俺の独り言です。 ・・・先生、それにしても、一を訊いて一を知るじゃあ、当たり前のことじゃないですか? 一しか訊(き)いてないですからね! それ以上知り得ないですよ! そうじゃないですか?」

子曰く、「そうじゃないよ! 一を訊いて十を知れる者は、常人じゃない! つまり顔回は天才で、出来過ぎ君なんだ。 一を訊いて二を知れる者は、秀才で、子貢(しこう)も常人の域を越えている者だ。 子路は、一を訊いて一を知る。 これもなかなか出来ることじゃないんだぞ。 これが出来ていれば、当然のこと、すでに常人の域を超えている者だ!」

子路曰く、「一を訊いて一を知る者は、常人の域を超えているんですか? ふ~ん。」

子曰く、「子路よ、自己研鑽(けんさん)を積んでいる者であっても、一を訊いて一を知ることがなかなか出来るもんじゃないんだよ。 凡人は、良くって十を訊いて一を知る程度だ。 小人となれば、百を訊いて一を知れば良い方だ。 道を知り、己のものとするには、日々の研鑽(けんさん)努力はもちろんであるが、体得したならば、生涯実践をし続け、日々怠らない事が肝要なんだよ。 私も偉そうなことは言えない! 道徳を解説することや教授することに関しては、私も人並みに出来るようにはなったが、さて、一を訊いて一を実践出来るかというと実のところ、出来てはいない! どんな理屈を言ってこねまわしても、その実践となると、まだまだ道半(みちなか)ばだよ。」

子曰く、「文は吾れ猶(な)お人のごとくなると、莫(な)からんや。 躬(み)、君子を行うことは、則ち吾れ未だこれを得ること有らざるなり」。
 
この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月2日火曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート283

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート283」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子路(しろ)曰く、「先生は、顔回(がんかい)と子貢(しこう)には優しいですね! 俺にすることとは、ずいぶんと違うじゃないですか! それって差別じゃないですか? 仁者たるもの、基本的人権を侵害してもいいですかいね!」

子曰く、「それは、子路の偏見というものだ。 私は子路だから遠慮がいらないのだよ!」

子路曰く、「それ、先生の本心ですか?」

子曰く、「Yes I do.」

子路曰く、「ただ遠慮がいらないというだけで、『先生と俺が同類だ』という答えにはなってないじゃないですか!」

子曰く、「子路よ、顔回は一を訊(き)いて十を知る。 子貢は一を訊いて二を知る。 子路は一を訊いて一を知る。 私も一を訊いて一を知る。 そういうことだ。」

子路曰く、「俺はやっぱりバカだと言うことですか?」

子曰く、「バカとは一言も言ってないぞ! 私と子路は一を訊いて一を知る同類で類友なんだよ。」

子路曰く、「俺と先生が類友ですか?」

子曰く、「そうだ! 子路、お前は私が教えたことを必ず実践しようと努めたね。 お前は一を訊いて一を実践して、その中で体得して、身について一を知る。 それが子路の持ち味で生一本のところだ。」

子路曰く、「先生、それって俺のこと誉めてるんですか?」

子曰く、「そうだ!」

子路曰く、「へへへへへ・・・ なんか気分が良くなってきちゃったなぁ~。」

子曰く、「子路は、まだ一つの教えが身につかないうちに、私が新たなことを教えようとすると、『一つの教えが消化不良をおこしているのに、新しい教えなど知りたくない!』と逃げ回っていたな。 子路のそんなところは、お前だけに備わった顔回、子貢にない得難(えがた)い資質だ。 その資質はお前のかけがえのない宝だよ。」
 
この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年11月1日月曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート282

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート282」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子曰く、「ここへ来たのは、子路(しろ)に折り入って話したいことがあってな。 子路の察しの通りだ。」

子路曰く、「こんな真似されちゃ~、君子や仁者でなくとも誰でも察しがつきますぜ!」

子曰く、「なら話がしやすい! それでだ、お前の弟弟子の顔回(がんかい)のことだ。」

子路曰く、「顔回がどうしたんですか?」

子曰く、「私は、息子の鯉(り)を亡くした。 私も年だ。 私は孔子一門を顔回に任せて引退しようと思う。 それについて、何をおいても子路に力になって欲しい
んだよ!」

子路曰く、「先生は、やっぱり顔回が一番可愛いんですね!」

子曰く、「そうかもしれんが、私亡き後の一門の存続がかかっている。 私は顔回もそうだが、子貢(しこう)や私を信じて慕ってくれる弟子達は皆かわいいんだよ!」

子路曰く、「先生、俺はどうなんですか?」

子曰く、「子路よ、私とお前は同類だ!」

子路曰く、「何が同類なんですか?」

子曰く、「私は、子貢に戯(たわむ)れに、『お前と一歳年上の顔回とはどっちが優秀かね?』と訊(き)いたことがあるんだよ。 すると子貢が、『私なんかとても彼とは比べものになりません。 彼は一を聴いて十を知りますが、私は二まで知るのがせいぜいです。』と答えたんだよ。 顔回をライバル視しているあの負けん気の子貢にしてはバカにしおらしい返事だったからね。 『そうだろうな、お前ばかりじゃないぞ! この私だって回には及ばないもんなぁ』となぐさめてやったんだよ。」
 
この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを


天意天風

2010年10月31日日曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート281

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート281」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子曰く、無言!

子路(しろ)曰く、「それで先生は、俺にわざわざ川の話をしたくてドアをこじ開けてまでおしかけて来たんですか?」

子曰く、「子路よ! もう少し察しを良くしたらどうなんだ。」

子路曰く、「何を察しろと言うんですか?」

子曰く、「私は、子路に、この景色を見て、『時の流れは早いものだ。 子路も私もお互いに年をとったな!』とこう言っているんだよ!」

子路曰く、「先生、『お互い年とったな!』そんなわかりきった話をするために俺の口に水を流し込んだんですか? 俺に言いたいことがあればはっきり言って下さい!」

子曰く、「子路よ、以前は毎晩のように、我が理想と仰ぐ魯の始祖の周公様の夢を見たものだが、この頃はとんと見なくなってしまったよ。 これも老化現象なのだろうかねぇ。」

子曰く、「甚だしいかな、吾が衰(おとろ)えたるや。 久しいかな、吾れ復(ま)た夢に周公を見ず」。

子路曰く、「先生! そりゃー年をとって、一つずつ若くなっていくなら、結構なことですよ。 そんな訳にゃいきませんよ。 70近くにもなりゃ、あっちこっち頭や体に故障がでても不思議じゃありませんぜ。 俺は右肩が四十肩で、左が五十肩で、合わせて九十肩で、首から肩がコッチコッチに固まって、なかなかとれませんぜ。 夢に周公が出てこないくらいで、気の弱いこと言わないで下さいよ!」

子曰く、「子路よ、お前は昔から変わらないな!」

子路曰く、「そりゃそうですよ。 昔っから子路は子路ですよ! 変わってませんぜ!」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風