2010年10月30日土曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート280

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート280
」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

屋上に上がった子路(しろ)は、先生の後ろ姿を見て何か一抹の寂しさを感じた。

子路曰く、「先生、お待たせしました。」

子曰く、「おお、子路! 構わんよ! 私が勝手に押しかけたのだ。 とにかく手荒なまねをした。 子路よすまない。 許しておくれ!」

子路曰く、「わかりました。 許します! 先生、それより、俺に話とは一体何ですか?」

子曰く、「まあ、子路、そう急くな! この景色を見てごらん・・・ 実に美しい眺めじゃないか!」

子路曰く、「先生、俺は毎日窓から見ている眺めですよ! 今さら特別な景色じゃないですがね。 何か先生、おセンチになっちゃって、どうかしたんですか?」

子曰く、「ま~、そうかもしれないな! 私はこの魯の国で生まれ、父を三歳の時に亡くし、 十九歳で結婚しその翌年に長男の鯉(り)が生まれた。 二十四歳で最愛の母を亡くした。 私は今年になって、内なる神のメッセージを受けて、齢(よわい)六十九で子路や顔回ら弟子と共に生まれ故郷に帰って来た。 帰るや否や、長男の鯉を亡くした。 私も鯉もこの魯の国の大地に生まれ、ここで育ち、仁の道を求めた・・・ 子路、この屋上から川が見えるね。」

子路曰く、「俺は遠視なのでよく見えますよ。 何ってことはない川ですよ。」


子曰く、「子路、お前は近眼じゃなかったのか? まぁ、それはどうでもいいことだ・・・子路よ、私は川のほとりに立つたびに思うんだよ。 時の流れはまるで川のようだ。 こんこんと流れ来たって、とうとうと流れ去ってゆく。 待ったなしにね。」

子、川の上(ほとり)に在りて曰く、「逝(ゆ)く者は斯(か)くの如きか。 昼夜を舎(や)めず」。

子路曰く、「どこかで聞いたことがある歌のセリフのようですね! そうだ、美空ひばりの『川の流れのように』だ!」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを



天意天風

2010年10月29日金曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート279

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート279」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

孔子寮の寮母がバスタオルを持って子路の部屋へ、下男と共にやって来た。

寮母曰く、「子路(しろ)様、バスタオルを持って来ましたよ。」

子路曰く、「あっ、ありがとう。」

寮母曰く、「先生もずいぶんと無茶をされますね!」

子路曰く、「ああ。」

下男曰く、「先生はどこにいかれたのですか?」

子路曰く、「上だ。」

下男曰く、「屋上ですか?」

子路曰く、「ああ、この上だ。」

下男曰く、「ああ、そうですか! こんなことされちゃ、当然おかんむりですよね!」

子路無言!

下男曰く、「子路様が口をきかなくなったということは、近寄らないほうがよろしいようで・・・。 私は先生の所に行って来ます。 子路様お風邪などひかれないように十分ご注意下さい!」

子路曰く、「おい、それ以上よけいなこと言うと、このドアのようになるぞ!」

下男曰く、「お~お、触らぬ子路に祟(たた)りなし! 私はこれで失礼いたします。 ごめん下さい!」

寮母曰く、「子路様、先生を怒らせるようなことしたの?」

子路曰く、「それは俺の方が聞きたいぜ! このドア見てくれ! これじゃおちおち寝られねえから、別の部屋に移るから用意しておいてくれ!」

寮母曰く、「子路様、空き部屋はないですよ!」

子路曰く、「なら、叩き出せ!」

寮母曰く、「先生は屋上でお待ちでしょう。」

子路曰く、「ああ、着替えたらすぐ行く。 それにしても頭がガンガンする。 え~い、いまいましいじじいだ。」

屋上に行って戻って来た下男曰く、「寮母さん、熱いブラックコーヒー1杯と熱いカフェカプチーノを1杯、屋上にいる先生の所へ頼む!」

寮母曰く、「はい、かしこまりました。」

子路曰く、「おい、この寮でカプチーノなんかオーダーできるのか?」

寮母曰く、「はい、できますよ! 子路様もカプチーノにしますか?」
 
子路曰く、「俺はホットコーヒーでいい!」

寮母曰く、「はい、ご用意します。 ではね!」

子路曰く、「ああ、パンツまでびしょ濡れだ。 着替えてさっさと行くか!」

子路は着替えて、ブツクサ言いながら屋上に行った。

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年10月28日木曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート278

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート278」だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

子曰く、「子路(しろ)! やっと起きてくれたか。」

子路曰く、「『やっと起きてくれたか』って、先生は俺を殺すつもりですか? 俺が先生に何をしたと言うんですか?」

子曰く、「子路よ、落ち着け!」

子路曰く、「こんなことされて、落ち着いていられますかい! 冗談じゃありませんよ。 これが君子たるもののすることですか!」

子曰く、「まあ、そう怒るな。 子路がなかなか私のところへ来ないので、私の方から来たまでだ。」

下男にむかって子曰く、「子路が風邪をひくといかん。 寮母さんにバスタオルを2~3枚持って来るように頼んでくれたまえ!」

下男曰く、「はい、すぐに持って来るように言います。」

子曰く、「子路よ! 私はお前に話をしに来たんだ。ここの部屋では話ができん! 寮の屋上で子路と私の二人で話がしたい。」

子路曰く、「先生、こんなまねしてまで話したい話って何の話ですか? 頭がガンガンしてますから、むつかしい話なら来年にして下さい!」

子曰く、「お前と私の仲だ、、理屈を言っても始まらんだろう! さあさあ、機嫌を直しておくれ!」

子路曰く、「わかりましたよ! すぐ着替えますから、屋上で待っていて下さい。」

子曰く、「そうだ! 子路は熱いブラックコーヒーが好きだったね!  目覚まし代わりに寮母さんにとっておきの熱いコーヒーを入れさせよう。 では屋上で待っている。」

そう言うと孔子先生は部屋から出ていった。

子路曰く、「あ~あ、人の部屋だと思って、ドアをこじ開けやがった。 ジジイのくせに乱暴なことをする。 日頃君子というのは考え方は正義を根本とし、行動は礼儀にかない、言葉は謙遜で、人々から信頼されて、物事を成就する。 誠に立派な人物のことを言うんだ。 これが立派な人物のすることかって言うんだ。 ちきよう! 先生じゃなかったら、手足の骨をへし折っているところだ! ハァ~、ハクション! ちくしょう! 風邪ひいちまうぜ!」
 
この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年10月27日水曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート277

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート277』だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

下男曰く、「旦那様、水を汲んできました!」

子曰く、「子路(しろ)の顔に目がけて水を浴(あ)びせなさい!」

下男曰く、「えっ! 私がやるのですか? 旦那様、それはご勘弁を!」

子曰く、「さっさとやりなさい! 後の責任は私がとります。」

下男曰く、「旦那様、後の責任をとっていただけるのなら、先に責任をとってください!」

子曰く、「上手いこと言うね! おぬし、できるな! 下男にしておくにはもったいない。 塾生にならんか?」

下男曰く、「私は先生のお世話で十分でございます。 御遠慮します。」

子曰く、「君子とはいかんまでも、それなりになるのにおしいことだ。」

下男曰く、「旦那様、私は恐ろしくて出来ません。 子路様を怒らせると大変なことになります。 何をされるかわかりません。 お~、恐ろしや、恐ろしや。 くわばら、くわばら!」

子曰く、「この臆病者! バケツを貸しなさい! 老骨に鞭うって私がやるわ!」

孔子先生は、近くにあった「孫の手」を腰に差し込んで、バケツを持って子路の口にゆっくりと流し込んだ。
最後の水を流すと、子路は咳こむように「ゴホ ゴホ ゴホ」と水を吐き出した。

孔子先生は、すかさず、腰に差していた「孫の手」をとって、子路の耳元でバケツを叩いた。

子曰く、「子路、起きろ! (ガンガン ガン)  子路、起きろ! (ガン ガン ガン)   子路、起きろ!」

これには寝起きの悪い子路もたまらなかった。

子路曰く、「ゴホ ゴホ ゴホ どこのどいつだ、俺の寝込みを襲うとは! ふていやつだ。 首根っこへし折ってくれるわ。」と飛び起きた。

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを


天意天風

2010年10月26日火曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート276

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート276』だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

下男は、ドアの隙間にバールを差し込んだ。

下男曰く、「旦那様、こじ開けますが、本当によろしいですね!」

子曰く、「くどいぞ!」

下男は力いっぱいドアをこじ開けた。

下男曰く、「旦那様、開きました!」

子曰く、「御苦労! では、入るぞ!」

子路の部屋に入って、孔子は思わず臭くて鼻を押さえた。

下男曰く、「これはひどい! 『男やもめにうじがわく』とは昔の人は上手いこと言いますね!」

子曰く、「感心している場合じゃない! 早く窓を開けなさい! 臭くて息ができん。」

下男曰く、「先生、窓を開けました!」

子曰く、「こんなに狭い部屋なのに、子路(しろ)はどこにいる!」

下男曰く、「先生、この押入れの中じゃないですか?」

子曰く、「さっさと開けなさい!」

下男は押入れを開けた。
そこには酒に酔い潰れて大いびきをかいている子路が寝ていた。

下男曰く、「子路様!起きて下さい! 先生が来てますよ! 子路様!起きて下さい!」

子曰く、「子路、起きろ! 喝ッ!」

孔子は、子路の頬を軽く叩いた。

子路寝ぼけて曰く、「俺様が『“こ”の一番』だぞ! 先生~、いのち~。」

子曰く、「子路、起きろ! 目を覚ませ!」

子路目を開けて曰く、「あっ先生! これはこれはお久しぶりです! 先生、ここはどこですか? ふにゃふにゃ・・・」

子曰く、「子路の部屋だ! 起きろ!」

子路曰く、「もう少し寝かせて下さいよ。 もう少し・・・ ガァー ガァー ガァー」

下男に向かって子曰く、「バケツに水をくんで来てくれ!」

下男曰く、「どうされるんですか?」

子曰く、「いいから、早くしなさい!」

下男曰く、「はい、すぐに!」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年10月25日月曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート275

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート275』だ。

諸君、昨日の引き続きであります。

孔子先生は、下男が呼びに来るまで、腕を組み目を閉じたまま椅子に座っていた。

下男曰く、「旦那様、寮母さんに連絡がつきました。 バールは寮にあるので用意しておきますとのことです。」

子曰く、「そうか、では行くぞ!」

下男曰く、「はい。」

場所は変わって、孔子寮の玄関である。
玄関に寮母がバールを持って待っていた。

寮母は、下男にバールを渡して曰く、「先生様、子路(しろ)様は何かやらかしたんですか?」

子曰く、「寮母さん、おはよう。 お元気かな?」

寮母曰く、「はい、お陰様で、元気で暮らしております。」

子曰く、「それは何よりだ。 子路の部屋はどこかね?」

寮母曰く、「はい、3階の東南の角部屋です。 部屋番号は『この一番』です。」

子曰く、「ありがとう。 では、まいるぞ。」

下男曰く、「旦那様、この部屋です。」

子曰く、「酒臭いな! ドアを壊す前に、もう一度ドアを叩いて起こしなさい!」

下男曰く、「はい、旦那様。 (ダン! ダン! ダン! ダン!) 子路様! (ダン! ダン! ダン! ダン!) 子路様! 起きて下さい。 先生がおこしです。 (ダン! ダン! ダン!ダン!)  子路様! 先生がおこしです。 起きて下さい。 (ダン!ダン! ダン! ダン!)」

「この一番」の部屋からは無言であった。

子曰く、「この扉をこじ開けなさい!」

下男曰く、「先生、本当にやるんですか?」

子曰く、「問答無用!」

下男曰く、「はい、やります。」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風

2010年10月24日日曜日

論語と算盤と天風哲学と電卓~論語創作ものがたり パート274

諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート274』だ。

諸君、居酒屋「論民」で深夜まで飲んでいた子路(しろ)、顔回(がんかい)、子貢(しこう)、神北(かんぺき)の4人が帰宅したその日の朝の孔子先生の書院の間から始まる。

孔子先生は、午後から神農廟大ホールで塾生総合の講義がある。
そのためいつもより2時間ほど早めに起きられていた。
孔子寮にいながら、ここのところ顔を出さない子路を慮(おもんばか)って、下男にいいつけてここに来るように申しつけた。
孔子先生は、年の開きのない古参の子路を内心では非常に頼りにしていた。
孔子先生は自分の亡き後は顔回に跡目を継がせたいと考えていたが、そのために子路の力が必要不可欠である。
子路とじっくりと話し合って協力を仰ぎたかったのである。

下男が孔子寮へ行って戻って来て曰く、「旦那様、子路様の部屋へ行ってきましたが、鍵がかかっていて入れませんでした。 ドアを叩いて大声で呼びましたが、起きてきません。 いかがいたしましょうか?」

子曰く、「子路は、部屋の中にいるのか?」

下男曰く、「はい、辺(あた)りがとにかくお酒の匂いで、臭くてたまりませんでした。」

子曰く、「マスターキーで開ければよいではないか。」

下男曰く、「そのように思いまして、寮母にマスターキーを出すように言いましたが、寮長の子路様がマスターキーを持って行かれて、他の部屋にも入れなくて困っていると言っていました。」

子曰く、「どうしょうもない奴だ! 私が直接叩き起こしに行こう! ドアごとこじ開けるからバールを持って、私について来なさい。」

下男曰く、「旦那様、ドアを壊してもよろしいのですか?」

子曰く、「かまわん! 修理代は子路に請求しなさい!」

下男曰く、「はい、すぐに御用意します。」

子曰く、「用意できたら呼んでおくれ。」

下男曰く、「はい、お呼びいたします。」

この続きは明日また・・・。 
今日一日、真我とともにあらんことを

天意天風