本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)〜論語創作ものがたり パート280」だ。
諸君、昨日の引き続きであります。
屋上に上がった子路(しろ)は、先生の後ろ姿を見て何か一抹の寂しさを感じた。
子路曰く、「先生、お待たせしました。」
子曰く、「おお、子路! 構わんよ! 私が勝手に押しかけたのだ。 とにかく手荒なまねをした。 子路よすまない。 許しておくれ!」
子路曰く、「わかりました。 許します! 先生、それより、俺に話とは一体何ですか?」
子曰く、「まあ、子路、そう急くな! この景色を見てごらん・・・ 実に美しい眺めじゃないか!」
子路曰く、「先生、俺は毎日窓から見ている眺めですよ! 今さら特別な景色じゃないですがね。 何か先生、おセンチになっちゃって、どうかしたんですか?」
子曰く、「ま~、そうかもしれないな! 私はこの魯の国で生まれ、父を三歳の時に亡くし、 十九歳で結婚しその翌年に長男の鯉(り)が生まれた。 二十四歳で最愛の母を亡くした。 私は今年になって、内なる神のメッセージを受けて、齢(よわい)六十九で子路や顔回ら弟子と共に生まれ故郷に帰って来た。 帰るや否や、長男の鯉を亡くした。 私も鯉もこの魯の国の大地に生まれ、ここで育ち、仁の道を求めた・・・ 子路、この屋上から川が見えるね。」
子路曰く、「俺は遠視なのでよく見えますよ。 何ってことはない川ですよ。」
子曰く、「子路、お前は近眼じゃなかったのか? まぁ、それはどうでもいいことだ・・・子路よ、私は川のほとりに立つたびに思うんだよ。 時の流れはまるで川のようだ。 こんこんと流れ来たって、とうとうと流れ去ってゆく。 待ったなしにね。」
子、川の上(ほとり)に在りて曰く、「逝(ゆ)く者は斯(か)くの如きか。 昼夜を舎(や)めず」。
子路曰く、「どこかで聞いたことがある歌のセリフのようですね! そうだ、美空ひばりの『川の流れのように』だ!」
この続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
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