諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート28」だ。
諸君、いよいよ神北君の入門審査会のはじまりはじまり。
子路の思惑通りにことがはこぶのかな?
子曰く、「顔回(がんかい)、子貢(しこう)、こちらが子路(しろ)紹介の神北(かんぺき)殿だ!」
「顔回殿、子貢殿、お二人のお噂はかねがねうかがっております。 姓は京(きん)、名(な)は田(でん)、字は神北であります。 お会いできて光栄であります。」
顔回曰く、「先生よりご紹介にあずかった、顔回こと顔淵(がんえん)です。 字(あざな)は子淵(しえん)です。 子路先輩、先生のお引き合わせです。 こちらこそお会いできて光栄です。」
子貢曰く、「神北殿、お会いできてうれしく存ずる。 私は、姓は端木、名は賜(し)、子貢は字(あざな)だ。 顔回君と私が、貴殿の入門を決め、選択を先生から委ねられることは、先ほど知らされたことだが、それを抜きにして歓談したい! 神北殿、遠慮はいりませんぞ。 せっかくの話が遠回りになります。 貴殿のご意見を伺いたく存じ上げる。 回先輩はいかがですかな?」
顔回答えて曰く、「あなたの内の良心本心に省(かえり)みられて、入門の動機が疾(やま)しくなければ、神北殿の意志を尊重したいと思います。 神北殿、先生と子路先輩の好意とご配慮で貴殿にお会いできることになりました。 私が、先生に『〈仁〉とは何か?』についてお尋ねしたことがあるんです。 この〈仁〉を自らのものとして会得すれば、あとの徳目の〈礼〉も〈義〉も〈信〉も〈智〉もおのずと関連してつながっているものゆえ、いずれ自然に身に備わっていくとことなると先生より薫陶(くんとう)を受けております。 先生は『〈仁〉とは、自分にうち克って礼の本質を自覚し、その本質に合致した行動を自ずとするのが〈仁〉なのだ。 それができれば、人間世界は〈仁〉に同化する。 したがって、〈仁〉はひとりひとりの霊性意識よりくるところの、意志の発露の問題であって、個人の人生観によるところであるから、人に強制すべきものではない!』と教えられているからです。」
神北曰く、「顔回殿、至らぬわたくしですが、精一杯努力いたします。」
諸君、孔子先生の意図は、顔回、子貢を後継者として育てようと考えておられての配慮だったんだね。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート27」だ。
諸君、孔子先生は。論語の中で、顔回(がんかい)と子貢(しこう)について二人の人格および価値観の相異を述べているんだよ!
知っている人は知っているね!
「子曰く、回(かい)やそれ庶(ちか)きか。 しぼしぼ空し。 賜(し)は命を受けずして貸殖(かしょく)す。 億(おもんばか)れば、しばしば中(あた)る。」
〈回(顔回)の人格はほぼ完全に近い。 赤貧(せきひん)の中で天命を楽しんでいる。 賜(し―子貢)は天命に甘んじないで、金もうけに浮身をやつしているが、それでも遠い見通しをあやまるような人物ではない。〉と述べているのだ。
ま、ここらへんの解釈は、渋沢栄一氏の「論語と算盤」を是非お読み下さいな!
「では、失礼して入らせていただきます。 先生、おはようございます。 先生にあられては、本日はご機嫌うるわしく存じます。」
「子貢よ、昨日も共にしたばかりだ、いちいち杓子定規なことはいい。 顔回にも来てもらった、 子路(しろ)の紹介の門人希望の神北(かんぺき)殿に会ってもらおうと思ってな! 回と子貢の二人の合意で神北殿の入門を許そうと思っているのだが、まず、せっかくの機会だから、私と子路と回と子貢、神北殿と茶でも飲んで語り合いたいが、子貢はかまわぬか?」
「はい、もちろんでございます。」
「回もいいな!」
「はい、先生、おおせの通りにいたします。」
「ちょっとちょっと先生、何で回と子貢が俺の連れてきた入門希望者の審査員なんですか? いつもの先生なら、『来る者は拒まず、去る者は追わず』じゃなかったんですか?」
「おいおい、由(ゆう―子路)よ、そんな目くじら立てるな。 目からしおがふいておるぞ!!」
「え~、俺の目にクジラがいるんですかい? それもしおをふいているんですか?」
「由よ、たとえ言葉だよ!」
「先生は由をからかっているのですか?」
「ま~、そうむきになって怒るな! 子路の紹介で集まっているんだからな。 みんな、楽にしてくれたまえ。」
諸君、今回の入門審査については孔子先生、何か訳がありそうだね。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート26」だ。
諸君、いよいよ顔回(がんかい)の登場だね。
論語の中で、孔子先生は顔回についてこんな人物評価をしている。
「子曰く、回(かい)や、われを助くる者にあらず。 わが言において説(よろこ)ばざるところなし。」
〈顔回という男ときたら、もう少し質問でもしてくれたら、私も助かるのだが・・・。 私の言うことに感心ばかりしている。〉
この言葉からも推察するに、顔回は非常に理解力、つまり飲み込みが早かったのであろう。
『つうと言えばかあ』ですかな!
しかし、先生としては会話のキャッチボールをしたかったんだろうね。
顔回はどちらかといったら、寡黙な人であっただろうよ!
「先生、おはようございます。」
「おう、回よ! おはよう! 昨日は、私の友人の病気見舞いに子貢ともども付き添ってくれてありがとうよ。 病人の介添えまでしてもらったね。 まことにご苦労であったな。 礼を言うよ。」
「はい、先生のご友人が病でありますから、少しなりともお役に立ててよかったです。」
「ま~、こちらに来なさい。 回よ、突然であるが、子路(しろ)の紹介で訪ねてこられた、入門希望の神北(かんぺき)殿を引き合わせようと思ってな! 子貢(しこう)も呼んである。 間もなく来るであろうから、楽にして待っていてくれたまえ!」
回曰く、「はい、わかりました。」
顔回曰く、「子路先輩、ご無沙汰しております。 このところお目にかかっていませんでしたが、先輩もお変わりなくお元気でありましょうや?」
子路「ああ、ありがとよ。 変わりねえぜ。 頭の脳みそ以外は、元来が丈夫でね。 すこぶる元気だぜ!」
「いつもの先輩でお変わりなく安心しました!」
トントントン(ノックの音ですよ!)
「子貢であります。 先生、お呼びでありましょうか?」
「おお、子貢よ、待ちかねた。 さあ入ってきなさい!」
諸君、これで今回の登場人物が全員揃ったわけだね。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート25」だ。
諸君、孔子先生は名は丘(きゅう)、字(あざな)は仲尼(ちゅうじ)、諡(おくりな)は文宣王。
魯(ろ)の国の山東省曲阜県昌平郷陬邑(さんとうしょうきょくふけんしょうへいごうすうゆう)という町で生まれた。
紀元前552年とされる。
シャカムニ(釈尊)とほぼ同時期で、ギリシャの大哲学者ソクラテスより80数年早い。
魯国は中国周代諸侯国の一つ。紀元前十一世紀に周の武王が弟の周公旦(しゅうこうたん)に与えた領地で、都は山東省の曲阜。
孔子の生まれた春秋時代から国勢は振るわなかったが周の文化を最もよく伝えられるとされる。
子曰く、「そうか、ではよかった。 神北(かんぺき)殿、失礼なことを言うようだが、そのいでたちは宮中の正式なものではないか? 貴殿は着付けも礼法にかない心得ておられ、堂に入っておられる。 神北殿、貴殿の所作もまた作法にかなっておられる。 それなりの出の方と御見受けするが? 失礼なことをお聞きするが、貴殿はどこのどなたかな? 物言いからして子路(しろ)とはそぐわぬようにみえるが・・・ 由(ゆう―子路)とはどこでお知り合いになられたのかな?」
神北曰く、「はい、実は、昨日夕方より居酒屋『ざ・論民』で、はじ・・・」
子路、間髪入れず二人の会話の中に言葉をはさむ。
言葉をはさんで子路曰く、「ああ、先生、そんなどうでもいい話はよしましょうよ。 こいつ、先生の門人として学びたい一心でここにまいったんですから。 先生、それとこいつ気が利くんですよ。 先生の生まれ故郷の山東省の地ビールを手土産に持って来たんですよ。」
「そうか、私の好きな地ビールとな、そりゃすまんな。」
「はい。 青島(チンタオ)ビール、のど越しすっきり〈生〉、期間限定のプレミアムで新発売のものだそうですよ。」
「おお、それはそれはありがとうよ。 キリン、アサヒ、サッポロ、サントリー各ビール会社の関連競争も命がけのしのぎを削っていると巷の噂で耳にしておりますがね! 政治を中心にどの産業も大変な乱世の時代になりましたな! ハハハハハ!」
トントン! トントン! トントン!(これノックの音ですよ。)
「顔回(がんかい)であります。 先生、お呼びでしょうか?」
「おお、回か、待っていたぞ。 さあ、入ってきなさい。」
「はい、では。」
いよいよ、待ちに待った孔門第一と呼び声高い、顔回初登場であります。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート24」だ。
諸君、はた目から見ると「何やってんだこいつ」なんて言って人のことは、ことさら分かったように見えるね。
しかし、自分のこととなるとなかなか気がつかないものですな!
諸君はどうですかな?
神北(かんぺき)曰く、「願ってもないことです。 孔門第一、第二の高弟と言われて呼び声の高い顔回(がんかい)様と子貢(しこう)様と是非お会いし、お話をお聞きし、教えを請いたいと意念しておりました。」
子路(しろ)曰く、「なにぃ~! おい、神北! 孔子先生の一番弟子は自慢じゃないが紛れもないこの俺様だ! 間違えるな! よく覚えておけ! いいな!」
子曰く、「待て待て子路よ。 徳の何であるかをわきまえた人間はいないものだな!(『子曰く、由(ゆうー子路)よ、徳を知るものは鮮(すく)なし。』) これ、誰のことかわかるな、由よ!」
「はぁ~、それは顔回と子貢のことですね! あいつら自分勝手ですからね!」
子曰く、「子路よ、ともに語りあうべき人物に出会いながら語りあわぬのは、良友を失うことである。 ともに語るに足りぬ人物とばかり語りあうのは、ことばの浪費である。 知者は良友を失うこともなく、ことばの浪費もしない! 子路が出会いの縁(えにし)をつくってくれたのだ。 良友あい交わるせっかくの機会だ!! 子路よ、良友はもって須(すべか)らく鑑(かがみ)となすべしだ!」
子路こたえて曰く、「実は、私も神北を回と子貢に会わせたかったんですよ。」
子曰く、「そうか、では両人ともよかったな。」
子路の心の中のひとりごと「ちぇっ、うざってぇ野郎が来るなぁ。 何も回や子貢に話なんかねえよ・・・! 先生、何考えて呼んだんだよ。」
「子路、何か言ったかい?」
「いえいえ、何も言ってません。」
子路のよからぬ企みをうすうす感じている孔子先生でありました。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート23」だ。
諸君、孔子先生は両眼の眼(まなこ)と眉間の第三の眼の三点を合わせることによって相手の真意と人物を見極めたんだろうね。
これって、読心術のひとつなんだよね。
孔子先生曰く、「まぁ~、神北(かんぺき)殿、こちらに来て腰をかけて楽にしてくれたまえ。 子路(しろ)、お前も来なさい。 先日、来賓より極上の烏龍茶をいただいたから、一緒に喫茶を楽しみませんかな?」
子路曰く、「いいですねぇ~、先生。 では、子路が早速お茶の用意をしますよ。」
「いやいやその必要はない。 神北殿が来られるということで下男に申しつけて、すぐにでも茶がたてられるように用意していたんだよ。」
「先生、そうですか。 今日はずいぶんとサービスがいいじゃないですか。 先生が自ら茶をたててくれるんですか?」
「もちろんだよ。」
「子路よ、君の紹介で当方までわざわざお越しになられたんだぞ。 私も先生という立場はあっても礼に対しては礼をもって迎えるものだよ。 それに孔門の弟子、子路に恥をかかせたくないからな。 神北殿、これでも私はお茶をたてるのが上手いんだよ。 子路にも先だて茶をたてたことがあったな。 その時は、子路はやたら喉が渇いていたとみえて、せっかくのお茶をがぶ飲みしたんだね。 それはそれで構わぬが、今日は、神北殿もいらっしゃることだ、せっかくの極上のお茶、ゆっくり風味香りを味わって喫茶を楽しんでくれたまえ。」
子路曰く、「先生、あと茶碗が2つ余分に用意してありますが・・・ これは何故に?」
子曰く、「ああ、この2つはな、顔回(がんかい)と子貢(しこう)を呼んであるんだ。 まもなく二人ともここへ挨拶に顔を出すであろう。 せっかくの機会、この五人で茶会をすることにしたんだ。」
子路曰く、「え~、聞いてませんよ。 顔回と子貢の野郎がくるんですか?」
子曰く、「子路よ、彼らが来たら都合が悪いのかね?」
子路曰く、「いえいえ、めっそうもございません。 ええ、二人とも私の可愛い弟弟子ですよ。」
実のところ、二心(ふたごころ)のある子路でありました。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
諸君元気ですかい、天意天風であります。
本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート22」だ。
諸君、神北(かんぺき)いよいよ孔子先生との対面であります。
孔子先生、奥の間でこちらを見ながら座っておられた。
子路(しろ)曰く、「先生おはようございます。 本日は無理を言って時間を作っていただき誠にありがとうございます。 弟子入り希望の神北を連れてまいりました。」
先生曰く、「こちらに来なさい。」
「先生、こいつが神北です。」
先生ゆっくり立ち上がられ、神北の正面に向かった。
それから、孔子先生は、神北の両眼(まなこ)と額の真中にあたる第三の目と言われる三点に自身の視線がぴったり合うように真向かわれた。
両者、両手を組んでしばらく互いの眼(まなこ)を見つめあった。
そして互いに深々と三度の御辞儀をした。
子曰く、「よく来られましたな。」
神北曰く、「はい、子路大せんせ…いぱいが口を利いてくれたおかげであります。 ご挨拶が遅れました。 私は、姓は京(きん)、名は田(でん)、字は神北と申します。 昨日よりお会いできることを楽しみにしておりました。 先生に謁見できましたこと、終生の光栄に思います。 以後お見知りおきくださいますようお願い申し上げます。」
「いやいや、今朝子路の申し出が突然だったので、後日、日を改めようと思ったが、どうやら子路にも事情があるとのこと。 無碍に断ることが出来なかったのだよ。 子路が是非に会ってくれという、珍しく本人直接の紹介であったから、どんな者を連れてくるのかと興味もわいたんだね。 まぁ~、子路は何をたくらんでいるのかわからんが、『人物を確かめて門人にすることにしよう』と子路には伝えてある。 神北殿、貴殿もそのこと心得て下されな。」
「はい。」
諸君、さて、何故孔子先生は、神北に真向かい、神北の両眼(まなこ)と第三の目と言われる三点に視線を合わせたのであろうか?
何か意図があるんだろうね。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風