本日の一日一話。
天風人語のテーマは「論語(ろんご)と算盤(そろばん)と天風哲学(てんぷうてつがく)と電卓(でんたく)~論語創作ものがたり パート49」だ。
諸君、江戸前期の陽明学者、熊沢蕃山(くまざわばんざん 1619―1691)は、若年でありながら江戸初期の儒者、中江藤樹(なかえとうじゅ 1608-0648)という良師を見つけたんだね。
これは学びたい、向上したいという蕃山の強い欲求が引き合わせたんだね。
そうした暫く月日が過ぎたある日、門弟が気づいて藤樹に話すと、
「そうか。 それでは庭へ入れてやれ。 下郎の身だから座敷へ上げることは出来ないけれども、庭ならよいから入れてやりなさい。 そして、廊下のところで聞かせなさい。」と言って、講義を聞かせた。
そして講義が終わった後で中江藤樹が、「そんなに私の話が聞きたいか?」と聞くと、
「ハイ、雨の日も、風の日も、こうして先生のお話を聞くのが私の何よりの務めだと思って参っております。」
「そうか。 お前の所は一体どこかね?」
「二つ山越した向こうでございます。」
「そうか。 すると歩いて来ると四時間ぐらいはかかるねぇ」
「ハイ、四時間はかかります。」
「どうだ、聞くところによると、年をとったおっ母(か)さんとお前だけだということだけども、うちの馬小屋が空いているので、馬小屋に来て住んではどうか? おふくろさんも、ここで、時折の話を聞くということなれば、四時間も山を越えて来なくてもいいではないか。」
このとき、蕃山は何と答えたか。
涙を流しながら、「身に余るありがたいことです。 けれども、私は山二つ越えてここへ来るからこそ、辛抱甲斐があると思っております。 お宅にご厄介になっては、たいした疲れも感じないで、いながらにしてお話を聞くなんてことは、もったいないことでございます。 やっぱり今まで通り、働いた揚句に、二つの山越えてここへまいり、お話を承る。 これがもう一番、私の気持ちの中に、励みが出ますので、どうぞそうさせて下さい。」と言ったという。
この物語の続きは明日また・・・。
今日一日、真我とともにあらんことを
天意天風
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